とうざい
とうざい / 感想・レビュー
藤枝梅安
文楽を採り上げた小説としては三浦しをんさんの「仏果を得ず」が有名。田牧さんは、例えば「とんずら屋」シリーズのように、武家の対面と町人の矜持の対立を際立たせた設定が得意だが、この作品でも小さな浄瑠璃一座・松輪座(他のシリーズでも出てくるね)の腰の据わらない雲雀太夫を主人公に置き、脇をしっかり者が固めるという、浄瑠璃そのものの物語。視点の移り変わりと会話の受け渡しが時代小説の枠をキッチリと守っている。これもシリーズになりそう。残念なことに73ページ12行目と、165ページ13行目に誤植あるいは取り違えがある。
2014/04/09
hiro
初田牧作品。この『とうざい』というタイトルに引かれて図書館で借りた。しをんさんの『仏果を得ず』、『あやつられ文楽鑑賞』を読んで、実際に文楽を観たおかげで、文楽には違和感がなく、このお江戸文楽ミステリーを十分楽しむことができた。やはり少し文楽の知識があったほうが、読みやすいと思う。小さな謎が重なっていくストーリーだが、ミステリーとしては軽めで、テレビ時代劇を観ているようだったが、特に雲雀太夫、人形遣いの八十次郎と松輪座の一人娘お珠の三人は個性的で、この三人が謎を解いていくテレビ時代劇は、きっと面白いと思う。
2014/09/22
浅葱@
うん。面白かった。すっかり浄瑠璃の世界にハマってしまいました。のめり込みながら、時折クスッと笑いも入りながら読んでしまって。大して知りはしない分野なのに気づけば浄瑠璃を聴いている気分。やっぱり雲雀太夫の成長が一番嬉しかったです。「人の心に詞(ことば)を届けるのは、声の大きさじゃない。気持ちを乗せた「音(おん)」だ。」胆田にぐっと力がはいる状況が、また面白くて。シリーズ希望作品(笑)
2014/05/31
ゆみねこ
人形浄瑠璃の小さな一座「松輪座」を舞台にした物語。主人公は雲雀大夫かと思うのですが、時折八十次が語り手になってみたりで少し混乱。師匠と弟子の絆を芯にした物語として読んだ方が楽しめるかも?
2014/05/10
フキノトウ
人形浄瑠璃を扱った作品。わたしにとって人形浄瑠璃は未知の領域で、小説では「仏果を得ず」以来だったけど面白かったです。ただ、視点が変わるのには戸惑いました(^^;
2014/08/05
感想・レビューをもっと見る