快楽
快楽 / 感想・レビュー
ミカママ
タイトルに惹かれ(笑)て手に取ったが、なんとも読みづらい作品であった。主人公の目線が定まらず、コンプレックスをバネにした慎司(異常性欲の持ち主)や、神々しいばかりの美しさを持つというその妻の使い方が、最後まで「ちょっと違うんじゃないか」だった。ラストの方はほぼ目が滑ってせっかくの憧れのイタリアも台無し。うーむ。
2021/09/14
じいじ
二冊目の芥川賞作品『ひとり日和』で爽やかな読み心地で好きになった青山小説。三冊目は、ヴェニスへ旅する二組の夫婦、どちらも不似合いなので不穏な匂いが漂うカップルの物語『快楽』を選択。一言でいえば、前二作からは想像の域を超える作品です。人間の性への欲望を剥き出しにした官能的な小説です。これは間違いなく、読み手の好みが分かれると思ったとおり、読メの評価は二分されています。私的には、著者の新境地を開いた意欲作だと思う。性愛描写が粗削りで、使う言葉に衒いがないので一層の新鮮さと個性を感じます。好きです、この小説。
2020/08/10
巨峰
美しい妻と醜い夫、超絶美男子の夫とそうでもない妻。どこか不釣り合いで不調和な2組の夫婦が、誘い合ってベニスに旅をする。美しいベニスはどこか作り物めいて、その作り物めいた2組の夫婦を、その欲望を、飲み込んでしまう。夫婦はいろいろ。こんな夫婦もいるだろう。言葉の通じない異国の町はあまりにも危険だけれど。作者初読み。否定的投稿が多いけど、僕はそこまで悪くはないと思う。
2018/08/30
いたろう
一緒にヴェニスを旅する二組の夫婦の性と愛。タイトルからして、従来の青山七恵のイメージを覆えそうという強い意志を感じる。今までの作品からは想像できない官能の世界。ヴェネツィア(ベネチア)ではなく、あえてヴェニス(ベニス)と表記したのは、「ベニスに死す」の官能性を想起させることを狙ったのか。最初と最後に登場する船酔いのイメージが小説全体のイメージに重なり、ヴェニスという神秘的な街を舞台とすることで、話はどこか幻想性を帯びる。この後、いったい青山七恵はどこに向かうのだろう。
2014/01/26
ゆにこ
青山さんの本は何冊か読んでいますが、こんな本を書くの?と意外でした。四人の登場人物みんな歪んでる。
2014/09/05
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