島はぼくらと
島はぼくらと / 感想・レビュー
遥かなる想い
辻村深月が描く17歳の世界。 舞台は瀬戸内の冴島で、 Iターン組、未婚の母親が 多いという設定は著者の 意図なのだろうか。 出ていくことを前提と した若者たちの描く夢は、 島に対する愛着にあふれており、 辻村深月の作風が変わって きている…村の人々との心の交流に 軸を置いた、心暖まる本だった。
2014/08/19
zero1
待つことの大切さ。旅立つ友人を見送る側は何かを失う?瀬戸内海の島から船で高校に通う4人組を中心に、辻村が地方を肯定的に描く(後述)。この島にはシングルマザーやIターン組などもいる。テレビ取材で見えた村長のエゴなど、きれいごとだけではない。東京への修学旅行で4人の計画は、辻村らしいミステリー要素と出会いで「くちびるに歌を」(中田)を思い出した。進学のためには島を出ることが当たり前。その時、人はどうする。結末は辻村の狙い通り「明るい涙」をもたらしたか。他作品とのつながりも。本屋大賞14年3位。
2019/09/14
めろんラブ
もうすぐ別れの季節がやってきます。旅立つ人、見送る人、それぞれの想いは濾過された来し方を投影して、不確実な行く末の予感をもはらむように思います。本書で描かれる別れは希望ある未来と同義であり、それが綺麗事に留まらず説得力を持っているのは、装画にある4人の高校生の抱える葛藤に丁寧に寄り添っているからでしょうか。これから数え切れないほどの別れを準備しているであろう若い方々におすすめしたい爽やかな一冊。白でも黒でも、辻村さんの作品は読み応えのあるものが多いのですが、本書は少々あっさり目。軽やかさ重視の印象でした。
2015/01/26
しゅわ
【図書館】2014年本屋大賞ランクイン作品&『ツナグ』の辻村さん…という程度の知識で手にとりました。ある島に住む高校生4人の淡い恋心を中心に、島を背負う大人達の覚悟、Iターンで島に集まった人達の葛藤、シングルマザーの事情などなどが描かれてます。最初に出てきた“幻の脚本”の謎と事情がラストでわかるあたり…ちょっと出来すぎだけど良かったです♪ 母子手帳に対する島の母親たちの思いには泣かされました。かなり濃い人間関係&なんだかんだいいつつ悪人はいない島の生活…大変だけど楽しそう。
2014/05/22
扉のこちら側
初読。作者お得意の停滞した田舎町を舞台に、停滞しない少年少女が描かれている。脚本の盗作が話にもっとからむかと思ったが、あっさりスルーされてしまった。環や大事な人の故郷=コウちゃんの故郷福島という件もよい。
2013/06/13
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