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日本橋本石町やさぐれ長屋

日本橋本石町やさぐれ長屋

日本橋本石町やさぐれ長屋

作家
宇江佐真理
出版社
講談社
発売日
2014-02-21
ISBN
9784062188098
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日本橋本石町やさぐれ長屋 / 感想・レビュー

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かなっぺ

日々の暮らしに追われる日本橋本町の与三郎店であるやさぐれ長屋で暮らす人々の話。それぞれの話が繋がりのある人情話の6話からなら短編集。2話の『みそはぎ』では年老いた母(今で言う認知症あり、下の世話の必要あり)の面倒を見ている18歳のおすぎに隣に住む35歳の喜助が言い寄ってきて、おすぎが断ろうと、喜助と喜助の母、おすぎとが言い合いになっていた所歩けない身動きがとれない年老いた母が土間口に這い出て、右手には出刃包丁を握って「おすぎに手を出すな!」と叫びそのままぴくりともしなくなった。(亡くなった)場面に慄いた。

2017/09/12

新地学@児童書病発動中

作者お得意の市井もの。日本橋の長屋に暮らす登場人物たちを主人公に据えた連作長編。その日暮らしの長屋の住人の涙と笑いが、胸に沁みる。ぼけてしまった母の世話をする女性を描く「みそはぎ」が一番の好みだった。兄弟はあまり助けてくれずに一人で母の支えていくおすぎのやるせない想いが伝わってくる。このあたりは現在の介護の問題にも通じる。一人で苦しんでいるおすぎを何とか支えようとする長屋の人達の温かさに、胸が熱くなった。いつの世も庶民は苦しい。苦しいけれど助け合いの心は持っている。そんな大切なことを教えてくれる小説だ。

2016/08/14

藤枝梅安

北村さゆりさんのカバー画が目当てで購入。小説現代に掲載された6編をまとめた1冊。タイトル通り、裏店に住む、一癖もふた癖もある住人達が、真っ直ぐに相手に向かい、時には傷つけあい、時には共通の敵に向かって協力しながら、つつましく日々を暮らしている。うわさ好きな女房たちと実直だが短気な職人の亭主達。歌舞伎の世話物のように、芝居見物の場面も井戸替えの場面も織り込みながら、季節ごとの6つのエピソードを楽しむことが出来る。100%善人や武家が出て来ないから、ホームドラマのように物語が進むのが心地よい。

2014/05/09

やも

ナニコレ〜!めっちゃ面白いじゃないの!お初の宇江佐真理さん、一目惚れしました🙇日本橋本石町にある、通称【やさぐれ長屋】。市井の人々の暮らしの中にある悲喜こもごもを、人情たっぷり笑いあり涙ありで読ませてもらった。皆さん其々に悩みもあって、1日が長く感じるような日がある。そんな時の長屋ならではのおせっかいや心配りがいいのよね。誰にでも(それはちょっと🙅)な所ってあるけど、そーゆーのも当たり前に知ってこその長屋付き合い。着飾らない皆の暮らし、気持ちよく読めた。★4.5

2022/10/31

ぶんこ

生真面目で理屈っぽい鉄五郎さんもよかったけれど、鉄五郎さんの良さを判って、彼が鳶に喧嘩をうられた時に啖呵をきったおやすさんが素敵でした。 長屋での人々との関わり方も素晴らしい。 いい夫婦です。 弥三郎店が追い立てにあって、長屋の皆がどうなるのか心配でしたが、寡婦になった藤江さんがいい人でした。 また追い立てをくいながらも、後の人の為に井戸替えをする長屋の人々、寄せ場帰りと色眼鏡で見られた六助さんの心意気にグッときました。

2015/12/21

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