皿の中に、イタリア
皿の中に、イタリア / 感想・レビュー
さと
6月にミラノを訪れた際、EATALYへ足を踏み入れた瞬間を思い出した。これでもかというくらいの食材とそれらが放つ強烈な香りにたじろいだ。何でもありでありながらどれもこれも必要絶対である。生きざまを味わえ と言わんばかりの皿を前にすれば彼らのように寡黙にもなるだろう。読み終えて、『お前はいったい何者だ』と問われているような気がした。返す言葉もない。言うなればプライドやプレッシャーで飾ろうにも飾りきれない一品、それでいて皿にはこだわり冷める前に食べてくれと言わんばかり。
2017/08/22
どんぐり
イワシの丸揚げ、ロブスターの丸焼き、サルデーニャ島の郷土料理「パン・フラッタウ」、リヴォルノの魚介類のスープ「カチュッコ」、ラグソースで和えたタリアテッレなど、 “食べて、暮らす” イタリアの日々を綴ったエッセイ20篇。そして「何よりのごちそうは、噛み応えのある仲間」たち。青空市場に立つカラブリア出身の三兄弟、カメラマンのミーナ、近所に住む友人知人、サルデーニャ島の羊、元上司、トラック運転手など、次から次と興味深い人たちが登場する。そして極めつきが「船乗りの知恵」の住み込みの船乗り。イタリア在住の日本人エ
2016/11/24
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
イタリアの料理を軸に展開する人間模様を描いたエッセイ集。カラブリアの無口な漁師三兄弟、カラブリアのことが知りたくて毎週金曜日兄弟が出店する市場へ魚を仕入れに行く。豊富な海の幸の描写に、漫画『るきさん』でイタリアへ行ったるきさんが「魚好きな私にはうれしいです」っていう場面を思い出した。ミラノの街中の話もあるけれど、どちらかというとイタリアの田舎での料理やワインの方が印象的。近所の農家でとれる食材が出てくる村のレストランや、リグリアのワイン工場で飲むワインなど。美味しそうで食欲が沸く。
2017/02/07
ロア
「何よりのごちそうは、噛み応えのある仲間なのだ」---登場する料理や食事シーンが美味しそうなのはもちろん、著者の交友関係の広さと、誰とで仲良くなってしまうオープンな性格に驚きました。近所に住む人だけでなく、地元や旅先の食堂やバールなどで偶々隣り合った人ともすぐに仲良くなり、自宅を訪ねたり夕食に招待したりするのはイタリアでは当たり前の事なのかな?それとも著者の内田さんが特別なの?人が苦手でぼっちの引きこもりがちな私には、別世界別次元過ぎてドキドキしました(*゚ω゚*)
2016/12/24
わっぱっぱ
生き方の喩えとして旅・本・食をひく人は多い。しかし喩えでも何でもなく、食事とは本当にもう、作った人食べる人そのものなのだと思わされた。凝縮された生を味わう行為だからこんなにも感情に直結しているのだと。イタリアの食を巡る二十編はいずれも極上の読み応え。著者はナビゲーターに徹していて、出会った人たちとの交流をまるで読者が直に見聞きしているかのように結び付けてくれる。しかし彼らに満ちている明暗や深い人間味を引き出しているのは紛れもなく著者で、そのしなやかな感性、相手と打ち解けられる天性の資質に恐れ入った。補⇒
2017/11/30
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