刑事の約束
刑事の約束 / 感想・レビュー
サム・ミイラ
一話目を読みながらなぜかこの話知っているぞ?と思いつつ後で気づく。ドラマで観たのだ。目新しさには欠けるも一作目とほぼ同じ水準。むしろより現実的でスッキリしない結末に逆になかなかやるなと唸る。「終の住処」で抑えてきた感情が込み上げ「刑事の約束」で喜びも悲しみもクライマックスを迎える。やはり「オムライス」なのか。シリーズ屈指の名編は終わってはいなかった。これはもうとにかく読んでほしい。私はこれで完結となるのが一番良いように思う。もう続編はいらない。実に見事なラストだった。
2017/04/16
takaC
この夏目信人シリーズ短編集でクロニクル上重要なのは表題作ということですね。その他事件で読者に間接的に夏目さん人物像を構築させ盛り上げておいて最後に一気にドンと来る手法。ただ、氏名的に岡本信人を連想している自分は不埒な読者。(笑)
2014/07/21
冴子
名前は知っていたけど、たぶん初読み作家さん。紹介文でシリーズ物とわかりましたが、短編集だから十分楽しめました。椎名桔平さん主演のドラマの原作だそうですが、背が高くて穏やかな人柄は阿部寛さんをイメージしました。最後の「刑事の約束」は辛すぎる内容でした。犯罪被害者には心に深い傷を与えてしまうものですね。シリーズの順に読み返したいのですが、どれが最初なのかな?
2016/08/23
ガクガク
『刑事のまなざし』夏目刑事シリーズの続編。事件を解決するというより、解決できない人の心の闇や断ち切ることのできない憎しみ、どうしようもなく連鎖する犯罪などを、異色の所轄刑事・夏目の眼を通して描いてゆく。血の繋がらない子を守り続ける『無縁』、認知症高齢者の行き着く先『終の住処』、犯罪青年の心を見守り続ける『刑事の約束』など、いずれも深く心にずしりと来る作品だ。「人のおぞましい心の闇を打ち消す力は・・・人しかない」とラストで語られる夏目のメッセージに、娘絵美の前に立ちはだかる困難にも一筋の光を見た思いがした。
2014/08/06
あすなろ
夏目刑事の人を見る眼差しは変わらず安心。このような刑事が実在するかという若干の点も同様ご愛嬌。夏目の眼差しが、椎名桔平を連想させるのも同じく。安定したシリーズになりそう。僕的には意表を突く結末も良いと思う。連作短編だが、後半の2作が特に良かった。刑務所のタンスの話は、幼き頃、自宅のすぐ近くにあった刑務所の矯正展も思い出したし、ストーリー自体も好みだった。なお、人が持つおぞましさを打ち消す力を引き出すため人の出逢いと存在が必要という趣旨の結びは、夏目刑事そして薬丸氏の本シリーズの秀逸の表明である。
2015/01/28
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