地図のない場所で眠りたい
地図のない場所で眠りたい / 感想・レビュー
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
早稲田大学の探検部出身のノンフィクション作家、10年先輩の高野秀幸さん、後輩の角幡唯介さんの対談集。探検と冒険との違い、探検部に入ろうとしたきっかけ、探検部の活動、探検部気質から、お互いの旅・冒険の話、作家としてのスタイルの違い、文体の話、小説とノンフィクション、お互いの著作についてなど、語り合った一冊。高野秀幸さんしか知らなかったけれど、とてもおもしろく読めた。
2017/02/10
翔亀
未踏の地がない現代、両者とも未知のものを自らの身体で探求する探検家の現在を切り拓いているが、角幡さんは真剣登山系・内面重視、高野さんは脱力系・社会性重視と、志向性は異なる。なのになぜ両者とも私のお気に入りなのか、意外な理由がこの対談により判った。両者ともまず「作家」なのだ。報道系ノンフィクションと違って、事実を伝えるのではなく、自分の"真実"を伝えようとしている。角幡さんは小説に対抗して、高野さんは小説が書けないため、共に非小説により小説を超えようとしている。だから二人の著作が面白くないはずがないのだ。
2016/03/05
ntahima
本屋で見かけてフラフラと買ってしまった。『空白の5マイル』で衝撃のデビューを飾った角幡唯介と我らが辺境作家高野秀行の濃密対談集。実はこの二人、早稲田大学探検部の先輩後輩の仲。西木正明、船戸与一なんて大先輩もいる。東京の大学に行きたいなんて考えたことは一度もないけど早稲田大学探検部には憧れる。それにしても好きなことしながら大学に裏表八年通って人気作家になれるとは才能の賜物とは言え羨ましい。学生時代の体力なら末席を汚す程度のことはできたかも?そしたら両名の先輩か...でも西木・船戸大兄の後輩になる自信はない。
2014/06/06
Tui
ともに早大探検部出身である体育会系文筆家ふたりによる、味わい深い対談。歯に衣着せず物言う先輩高野と、それを飄々と受け流す(いい意味で鈍感な)後輩角幡。高野は角幡を「よくよく行動パターンを見てみると、かなりいいかげんなんだよね」と、角幡は高野を「協調性を発揮する場所が社会と同調してないだけで」とまあズケズケやり合う様子からも伺えるフランクな信頼関係。探検観から探検ノンフィクションという独特なジャンルにおける本の作り方まで楽しめます。リラックスしきった雰囲気の中でも、互いへの余りある敬意が感じられ、いいなー。
2016/10/31
あやの
実は角幡さんの作品は未読なのだが、さすが、この対談は面白かった!早大探検部の話から各々の作品について、文章を書く姿勢についても語っている。なるほど~と思ったのは「突拍子もない体験」を称賛されるのではなく、「書いた文章」で勝負したいと二人とも言っていること。面白いものになるかどうかは文章次第ということで、どんなものでも表現力って大事なんだなと思った。冒険前に高野さんは入念に準備するが、角幡さんは意外と行き当たりばったりだとか、お二人の人柄も見ることができてとても興味深く読んだ。早速角幡さんの本を探そう。
2024/10/06
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