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紫匂う

紫匂う

紫匂う

作家
葉室麟
出版社
講談社
発売日
2014-04-16
ISBN
9784062188913
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紫匂う / 感想・レビュー

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藤枝梅安

新聞に掲載されたものに加筆・修正を加えた1冊。国家老の専横を藩主の母親が暴こうという筋立てに多くの家臣が右往左往するなかで萩蔵太だけが自分の立ち位置を変えずに生きる、という物語。主人公・萩蔵太の真っ直ぐな生き方と「山の民」と呼ばれる定住しない猟師達の頭分の弥三との長年にわたって築いた信頼関係が印象的。それ以外の登場人物は蔵太の引き立て役で、どれも好きになれない男女ばかり。特に、蔵太の妻・澪と志津、香など、この作家は女性に厳しい。でも、自分自身もこういう「しょうもない人たち」と同類なのだな、と妙に納得する。

2014/07/31

それいゆ

典型的な葉室作品でした。結末も絵に描いたような結果に安堵しましたが、葉室さんだからこそ、これでは物足りないのです。読者は葉室さんに、綺麗にまとまった小品の連続を期待しているのでしょうか?このままでは「蜩ノ記」を超える作品は無理だと思います。一皮むけた長編の超大作を期待しています。

2014/05/27

ito

二人の子どもと穏やかに暮らす澪は、かつての想い人・笙平と再会する。凡庸な勤めに留まる夫・蔵太と側用人まで出世した笙平との間で、ゆれる女心を持て余しつつ、やがて政争の渦中へと巻き込まれてしまう。澪の揺れ動く心理から軽率で浅慮な行動を引き起こし、家族を巻き込む姿にいらいらした。しかし、そこからのストーリーは意外な方向へ展開し、蔵太の信念と愛情の深さに惹きこまれた。澪自身が自らの心を求め、強くあろうとする姿に美しさを感じた。時代小説なので女性観は古いが、覚悟を持って生きる人々の姿が清々しい。

2014/05/08

momogaga

読メ開始以前の既読本。時代物のヒロインでは一番魅力を感じた。凜とした主人公の生き方を表わした題名も良い。

人妻の恋というからには道ならぬ恋の物語かと思いきやちょっと違った。でも自分の心を見つめ直し、いちばんの幸せ、いちばんの望みはなにかを澪が知っていく過程がよかった。本当の幸せは案外すぐ近くにあるものです。

2015/06/03

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