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阿蘭陀西鶴

阿蘭陀西鶴

阿蘭陀西鶴

作家
朝井まかて
出版社
講談社
発売日
2014-09-10
ISBN
9784062191418
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阿蘭陀西鶴 / 感想・レビュー

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yoshida

誹諧の異端児である阿蘭陀西鶴こと井原西鶴。そして西鶴の娘である盲目のおあい。母が亡くなり、弟二人は養子に出されおあいは西鶴と暮らす。誹諧師として、また「好色一代男」等を執筆し名を轟かす西鶴。その不器用な父娘の愛情がしみじみと伝わる物語として、高い完成度を持つ。初めは父である西鶴に嫌悪感すらあったおあい。娘が育つまで酒を絶つ西鶴。芝居を観に行き、盲目のおあいを嘲る他の客に激し黙らせる西鶴。様々な事柄がおあいの心を溶かす。役者の辰彌へのおあいの淡い思慕。最期のページで思わず涙する。お互いを慮る姿が美しかった。

2017/10/14

名古屋ケムンパス

まかてはん、ええ話お書きにならはりましたなあ。西鶴先生は、はた迷惑なお人のまんま、生涯をえろう駆け足で走り抜けならはったんや。盲目の娘のおあいちゃんは頑張りやはんね。お母はんに教えてもろうた料理の腕は一流で、お針仕事も難なくこなしまんねん。元禄の大坂のまちの息遣いが身近に感じられるほど活き活きと描かれた物語でんな。その終盤、わては生き別れになってしもうた二人の弟はんの姿に心を打たれて、秘められた西鶴先生の心根にほんま頬が濡れてしまうねん。

2016/01/13

文庫フリーク@灯れ松明の火

親から相続した財を放蕩三昧、果てはお菰さん(乞食)となっても、受けた施しをすぐさま他のお菰さんに呉れてしまう椀久。身体目当てでなく、その芸を評価して贔屓にした役者・辰彌に悪い噂が立たぬよう気配りする心は、お大尽からお菰に堕ちても変わらぬ真の「粋」その椀久を見過ごせなかった辰彌は、元は捨て子。紙屑拾いから芝居小屋の座主に拾われた人気役者。虚無の果てに死を選んだ辰彌も椀久の為なら生きる張りができただろうに。椀久・辰彌、そして市井に生きる庶民をまっすぐ見つめる井原西鶴の物語が、下賤と言われようと売れぬ訳がない→

2015/05/25

ナイスネイチャ

図書館本。勉強になりました。今迄「井原西鶴」「好色一代男」という言葉しか知識がない私には何もかも新しい物でした。盲目の娘から描いた西鶴像。描写が音と香りで表現しているのも良かったです。思春期の娘が父親を疎ましく思う時期から徐々に変化していく様もあり、今と変わらないなぁと思いながら読みました。

2014/10/16

のり

「井原西鶴」は三人の子宝に恵まれたが、妻が若くして亡くなり、盲目の娘「おあい」は手元に置くが二人を養子に出す。生前の母親の手ほどきの賜物で「おあい」は料理の腕前も高く、西鶴を支える。独創的な感覚で世の先を見据える能力、人心を捉える魅力もあるが、「おあい」にとってはわだかまりもある。親子関係が多種多様な変化をとげるのも魅力的だった。俳諧や草紙で名を馳せた「西鶴」と「おあい」親子は共に人に寄り添う努力家でもある。

2017/11/08

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