池田屋乱刃
池田屋乱刃 / 感想・レビュー
yoshida
池田屋事件を志士の立場から描いた短編集。宮部鼎蔵や北添佶摩に吉田稔麿等、池田屋事件で犠牲になった志士が描かれます。最後の桂小五郎は生き残った大物です。メインは桂小五郎の回になると思う。桂小五郎は、池田屋を訪れた時間が早く、一度池田屋から離れた為、難を逃れたというのが通説です。事実は違ったと作中では訴える。真偽は分からない。しかし、池田屋事件や禁門の変がなければ維新はどう変わったか。結局は欧米列強から独立を守るよう、中央集権国家が成立したと思う。あまり馴染みのなかった池田屋事件への興味が湧いた作品であった。
2019/07/27
Die-Go
新選組の斬り込みで有名な「池田屋事件」を、犠牲となった志士側の視点から描く短編集。北添佶摩や宮部鼎蔵、吉田稔麿、桂小五郎と言った有名どころだけでなく、全く無名の福岡祐次郎と池田屋との関わりを創造力豊かに描いている。志士の熱い思いを絶ち切った新選組の所業は、やはり維新政府側からすれば恨みを持って当然の事だったのだろう。短編集にも関わらず、一編一編が繋がりをどこかで持っているのでまるで長編を読んでいるような濃い読書だった。★★★★☆
2017/09/05
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
伊東さん初の幕末もの。池田屋事件をテーマに、志士側の視点で書かれているため、沸騰した時代に生きる人々の自国の未来への思い、仲間への信頼、そして武士としての潔さが悲しいくらいに伝わってきます。あれもこれもと詰め込みすぎず、登場人物も絞り込んだことで、感情移入もしやすくとても印象的な作品でした。伊東さんと言えば戦国ものの乾いたイメージが強いですが、今後は熱い幕末ものでも期待大です(*^^*)
2016/11/23
starbro
激動の幕末の無名の志士の生き様、死に様がリアルに描かれています。連作で章毎に主人公が変わるのと一般的にはマイナーな主役に感情移入がしずらいのが難点かも知れません。
2014/11/20
さつき
池田屋事件を長州側から見た作品。福岡祐次郎、北添佶摩、宮部鼎蔵、吉田稔麿、乃美織江、そして桂小五郎。一編ごとに主人公が変わりますが、どの作品もクライマックスは池田屋です。国を憂う志士たちの烈しい生き方とその覚悟に圧倒されます。新選組関連の本を読みたくてタイトルから予備知識なく借りてきました。新選組の敵方から見た池田屋でしたが、なかなか面白かったです。
2017/02/21
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