サンティアゴの東 渋谷の西
サンティアゴの東 渋谷の西 / 感想・レビュー
hiro
瀧羽さんの初短編集ということもあってか、作者を知らずに読むと、いい意味で瀧羽作品とは分からなかっただろう、少しほろ苦いが温かくなる6編の短編集。瀧羽作品を読むのはこれで8冊目だが、この本を読むまで瀧羽さんの作品は‘京都物’がいいと思っていた。しかし、今回はサンティアゴ、津軽、上海、瀬戸内海の島、アントワープ、渋谷とまったく京都は出てこない。逆にそれが良かったと思う。父親として読了後は、やはり「上海の仏蘭西料理店」が一番心に残った。題名の『サンティアゴの東 渋谷の西』ってどこのことだろう。謎が残った。
2015/03/02
モルク
サンティアゴ、津軽、上海…と、その土地に住んでいたり旅したりする人々の短編集。仕事や結婚に悩む人たちが描かれている。結婚の挨拶のため初めて彼の実家を訪ねるが…という「津軽のリューニー」そんなに大切なことはプロポーズ前に言っておけ!という感じ。新婚旅行で選んだ地、そこにひとりで行くことになった主人公。旅先のホテルで待っていたのは…という「アントワープの迷子」ベルギービール、チョコレート、いいなぁ。でもこんな母親は嫌だ!最終話「渋谷で待つ」こんな愛もある。わかる!さらっと心の隙間に入ってくる。
2022/06/11
ひめありす@灯れ松明の火
前作の『ぱりぱり』がとっても好みだったので……。この方は連作短編とか長編の方が向いているのかもしれません。地球は丸い。だからいつもどこかでバトンが受け渡されている。それは朝のバトンだったり、親子のバトンだったりする。もしかしたら損なうバトンがあって、いつも誰かがそんな当たり前だけど運命の一瞬を迎えている。地球は丸い。サンティアゴの東はいつか巡り巡って渋谷の西になるでしょう。つまり、あなたと私の間にはあらゆるものが入る。運命だって永遠だって含まれる。だけど、二人とその土地が空気が、運命の一瞬を作りだしている
2015/04/25
Mumiu
なんとなく村上春樹を連想するタイトル。「津軽」が苦手で、「渋谷」がいちばんすきかなあ。もっとふわふわな直球のかわいい子が多めと思いきや、もう少し苦味を加えたオトナのかわいいお話たち。言葉で伝えるって大事だ。「言わなくても気持ちが伝わっていると思っていた」とかそりゃ無理。干渉しすぎももちろんNGだけど、無関心もかなしい。いやあ人ってめんどくさいよ!!ふたりだけじゃどうしよもなくても、第三者が緩衝材になることもある。できればそれぞれ思いがきちんと伝わるといいな。
2015/06/15
みかん🍊
サンティアゴ、津軽、上海、瀬戸内、アントワープ、渋谷それぞれの街での6つの短編集、瀧羽さんの作品と雰囲気が違う。変わって行く物、変われないない物、街の片隅で小さな出会い分岐点を迎える人々、それぞれの街の風景が素敵で行ってみたくなる、「上海の仏蘭西料理店」が一番好きでしたが、全偏ちょっともどかしく、物足りない感が残る。やっぱり瀧羽さんは「左京区七夕通東入ル」の様な爽やかな青春物の方が好きです。
2015/03/24
感想・レビューをもっと見る