藪医 ふらここ堂
藪医 ふらここ堂 / 感想・レビュー
酔拳
だらしない医師「三哲」と娘「おゆん」隣に住んでいる弟子の「次郎助」で藪医ふらここ堂の毎日は繰り広げられる。そして、炉端会議にやってくる腕のいいとりあげ婆さん「お亀」と隣に住んでいる「お安」の会話が楽しい。「おゆん」は人見知りな娘で、思う事をいう事ができないところが、応援したくなる。恋に悩んだ「おゆん」が「お亀」に相談した時の「お亀」の答えが脳裏に残った。「人はこうしてふらここみたいに揺れながら生きている。正と邪の間をね、行ったり来たりしている。中略 己で選んで踏み出すしかない時がある。」
2019/08/17
星落秋風五丈原
気のいいお父さん医者と世話焼きの長女の市井もの。なんで普通の医師がいきなり奥医師にスカウトされたかという経緯と三哲の兄との確執の理由、結局妨害があって採用されなかったのかなどが明かされなかった。続編があればこういうオープンエンドでもよかったけど。
2022/01/29
ひさか
小説現代2014年1,4,7,10月号、2015年1,3,4,5,6月号連載のものを2015年8月に刊行。小児医の三哲と娘のおゆんをとりまく人々のお話。江戸の小児医というのも興味深いが、三哲が並みの腕でないことが明らかになるところも面白い。ただ、展開にまとまりが欠け、設定が活かしきれていないところが残念。
2015/11/25
さと
ふらここ 誰が乗っても、どう揺らしても だまって受け止める。空を見せたり地に寄せたり、様々なものをみせてくれる。長屋の面々、三哲やおゆん、彼らが繰り広げるすったもんだを眺めながらまとめているのはこの ふらここ のような気がした。「人は何者になるかではなく、何をするかが肝心ではないでしょうか」 便利になり 望むものが手に入る時代に生きる私に 「お前が本当に望んでいるのは何だ」そう問われているような気がした。空に近づけば地から離れる。生と邪の間を揺れる自分のふらここのふり幅を自分で決めないとね 三ちゃん
2016/03/15
ぶんこ
江戸時代にも小児科医が居たんだなぁと思ったり、七五三のお祝いの意味、お七夜での名付けの意味を初めて知って「へぇ〜〜」の連続でした。 三哲さんの人柄はイマイチ掴み切れませんでしたが、他の登場人物が魅力的で面白かったです。 おゆんさんの奥手振りには共感しきりで、気持ちがよくわかりました。 相手が次郎助さんでも佐吉さんでもお似合いの夫婦になれただろうな。 お安さんやお亀さんといった気心知れた人々との毎日がずっと続いて欲しいです。 三哲さんが奥医師になったとしても、何も変わらないで欲しいなぁ。
2015/12/29
感想・レビューをもっと見る