KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

虚人の星

虚人の星

虚人の星

作家
島田雅彦
出版社
講談社
発売日
2015-09-25
ISBN
9784062197434
amazonで購入する

虚人の星 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

それいゆ

総理とスパイのそれぞれの話が交互に登場する展開は、私のお気に入りの部類に入るのですが、二つが融合した後の話は私にはつまらなかったです。何故か?多分現実の政局を解説するかのような内容になってしまったからでしょう。作者の根本にあるのは戦争法案反対の考えです。「チャップリンの独裁者」を彷彿させるような総理の最後の演説で、憲法9条命の思想が明らかになっています。この時点で、この作品は小説ではなくなり、作者の意見表明の場になってしまいました。

2015/10/19

starbro

島田雅彦は新作を楽しみにしている作家の一人です。本作はタイトルからスポ根パロディ小説かと思いきや、政治スパイ父息(おやこ)小説でした。レインボ-マン等、我々の年代では大変懐かしい(30代より若い方はピンとこない)キャラクターが続出して遊び心満載です。著者のお遊び的作品と思わせて、最期は大真面目?に〆るあたり見事です。途中ウヨク化が見えましたが、やっぱり島田雅彦はサヨクですネ!こちらも安倍総理に読ませたい1冊です。

2015/10/17

オーウェン

7つの人格が存在する星新一と、総裁にのし上がった松平定男。2人はリンクしていくが、それが中国のスパイという形であり、明かされる意外な関係も。政治ドラマではあるけど、現実起こる可能性がある問題。中国との関係や米との関係。どちらを優先かによって、緊張状態が続いてしまうことの危惧。いかにして松平が自分を売っていくのか。また星のスパイ活動は常に7つの人格の話し合いによって混乱していく。ドラえもんだったりレインボーマンとする例え。一瞬夢オチかと思ったが、これぐらいのことをやらないと、混沌とした世の中には通じないかも

2021/01/14

NAO

明らかに安倍政権のパロディである、血筋と顔立ちだけが取り柄の松平首相。父が中国側のスパイだったというだけで安易に自分もスパイになった7重人格の星新一。権力批判と主人公の数奇な人生設定は、いかにも島田雅彦ならでは。日本の政治、外交、防衛問題が詳細に描かれていて、エンタメとして楽しむというより、いろいろと考えさせられることの多い本だった。

2016/03/01

Tui

今の与党のあり方、とくにアメリカやアジア諸国との関係性や歴史観には、かなり無理矢理な感じがある。それを整合性があるかの如く国民に納得させ遂行するのは、統一された精神のなし得る技では最早ないのでは。…という訳で、解離性同一性障害を呈した人物が国を動かすこの物語。軸となる二人いずれも複数の人格を持つという設定を除けば、今の日本の抱える痛いところを突きまくった物語だ。望ましい未来の姿は、穏やかではないかもしれない。でも、状況の悪化を緩やかにするくらいはできるかもしれない。痛快な読み味だが、現実の重さも心に残る。

2017/02/06

感想・レビューをもっと見る