決戦!本能寺
決戦!本能寺 / 感想・レビュー
yoshida
本能寺の変を七人の人物の視点より描く。本能寺の変と言えば、圧倒的に信長の存在感が光る。その為、本能寺の変の黒幕や手引きをした人物の描かれ方にアイデアを感じる。特に好みだったのは織田信房を描いた「覇王の血」、森乱丸を描いた「焰の首級」。「覇王の血」では武田家の人質となり、武田家の衰えにより織田家に帰参した信長の子を描く。存在は知っていたが、深掘りした作品は初めてではないか。興味深く読めた。どうしても本能寺を題材にした作品を読むと、信長の創る未来が見たいという思いに行き着く。信長の死は歴史ロマンを呼び起こす。
2019/08/25
takaC
豪華競演。いや、主役は別々だから競演ではないですね。何と言うんだろう。配列までもが計画ずくのような天正十年録。 「覇王の血(織田信房)」伊東潤、「焔の首級(森蘭丸)」矢野隆、「宗室の器(島井宗室)」天野純希、「水魚の心(徳川家康)」宮本昌孝、「幽斎の悪采(細川幽斎)」木下正輝、「鷹、翔ける(斎藤利三)」葉室麟、「純白き鬼札(明智光秀)」冲方丁
2016/12/17
hiro
決戦シリーズ第3弾!。『関ケ原』『大阪城』に比べてスケールダウン。それは時代は大きく変わった「変(事件)」だったが、両軍が相対する「決戦」ではなかったからだろうと思う。そして「本能寺の変」での一番の関心は、なぜ光秀は信長に弓を引くことになったのかだと思う。その意味で、信長の五男信房からみた伊東潤の『覇王の血』と、細川幽斎からみた木下昌輝の『幽斎の悪采』が良かった。肝心の光秀を描いた冲方丁の『純白き鬼札』は、朝倉家に仕えたころからの光秀を描いているが、短編で主人公の光秀を描くのはやはり無理があったと思う。
2016/01/01
藤枝梅安
本能寺の変を扱った中編7作。明智光秀を動かしたのは何だったのか、誰だったのかを異なる視点から描いている。が、同じ題材を扱った他の長編と比べ、掘り下げが甘く、散漫な印象。結局、主役は信長だったんだ。
2015/12/27
ちょろこ
濃密の一冊。七人の作家さんが描く本能寺の変、そこに至るまでのストーリー。誰もが知る、文句なしに惹かれる1582年の歴史の一幕。だからこそどんな時間やどんな濃密な関係や思惑が交差していたのか常に作家さんは独自の構想で描きたくなり、読み手は知りたくなるんだろうな。改めて一夜にして散った儚さと濃密な時間を感じた。もちろん、あくまでも創造でしかない世界だけれど、あの時の妙覚寺での信忠サイドの時間を味わえた伊東潤さん、信長が光秀へかけた言葉の裏に隠された思いや光秀の決意までの経緯を知れた冲方丁さんの作品が印象的。
2023/07/24
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