異類婚姻譚
異類婚姻譚 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
本谷有希子さんの作品は初読だが、大きな驚きはない。本編には様々な要素が含まれるが、それらを無難にまとめあげたという印象。容貌の変移に始まりそれを維持できなくなるといったあたりはシュールな趣きでもあるが、そこに主眼はない。夫婦における役割と関係性の崩壊もまた、小説のテーマであるように見えてそうではない。それでは、漱石の『夢十夜』の第1夜を思わせるメタモルフォースこそが主題を背負うかといえば、これまた違うだろう。では、作品世界は混沌としているのか、といえば実は存外に整然としているのだ。今後の可能性は未知数。
2016/01/20
starbro
職場の読友に又貸しするために、予定を繰り上げて読みました。本谷有希子、初読です。ここ数年の芥川賞受賞作の中では一番評価出来るような気がします。カフカ的夫婦奇譚という感じです。芥川賞受賞作の「異類婚姻譚」が断トツで「藁の夫」もオススメです。私のように既婚者で夫の立場からすると、本作はホラー的にも読めるかも知れません。芥川賞受賞後第一作も含め、著者の今後の作品にも期待したいと思います。
2016/02/09
しんごろ
4編による短編集!独特の世界観ですね(^^)表題作『異類婚姻譚』はホラー?ファンタジー?、とにかく頭の上に???がつく感じかな(笑)ただこんなダンナにはなりたくないなと思いました(^^)『藁の夫』もこんな細かすぎなダンナになりたくはないと…思います(^^;)『〈犬たち〉』は大人の童話という感じで面白かったです!登場してくる動物たちの名前にユーモアを感じました(^^)読んで思ったのですが、お芝居で見たい気持ちになりますね(^o^)
2016/03/08
遥かなる想い
2015年下期芥川賞受賞。 夫婦の不思議を描く。所詮夫婦は他人だが、 長らく一緒に暮らしていると顔が似てくると 昔から言うが、本書を読んでいると頷く箇所が 多く面白い。「男の顔に責任を持て」と言った リンカーンは「夫婦の顔」には何か言ったのだろうか。唐突な終わり方に違和感を感じるが 印象的な本だった。
2016/04/29
morinokazedayori
★★★表題作の他、3編が収められた短編集。主人公たちの心の澱を表すかのようなどこかねっとりとした独特の雰囲気を醸し出していて、不思議な感覚に陥る。非現実であるはずなのに、あ、そうなのかもと思ってしまう感覚。時間を重ねるにつれ変化していく夫婦の距離感の難しさについて、考えさせられる。
2016/05/21
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