デビュー小説論 新時代を創った作家たち
デビュー小説論 新時代を創った作家たち / 感想・レビュー
山田太郎
あんまり最近この手の文芸評論読んでなかったので、なんか新鮮。両村上ってなんかひとまとめで言われてたけど、なんか差がついたような気もするな。町田康がちゃんとパンクふまえて書いてるのはえらいと思ったってなんかえらそうにいうなよ、おれ。筒井康隆がはじめからちゃんと評価してたというのはえらいというか。自分も人の意見に流されず自分の尺度で評価できるようにがんばりたいと思いました。
2016/10/14
miori
村上龍、村上春樹、高橋源一郎、笙野頼子、山田詠美、多和田葉子、川上弘美、町田康 計八名のデビュー小説を中心に、前後の作品から、作家の特質を探った評論集。過去に読んだ他の方の評論との違いも含めて、満足できる一冊でした。清水良典は何冊目かなあ。信頼している評論家の一人です。
2022/10/18
袖崎いたる
小説も評論も、どちらも文芸の外延であるからして、小説の面白さを述べる評論もまた文芸作品の面白さに中る。ゆえに読者が文芸評論を面白がることは「面白さの面白さを面白がる」という面白さに中る。本書は面白いから売れ続けている作家の、面白かったからデビューに至れたその処女作についての評論集。文芸評論を如何に書くかということは、小説が如何に書かれるべきかの里程標を立てる覚悟に通じる。かつての新作家のデビューがどのようなパラダイム・シフトを起こしたかは、読者も作者も、自分の依るパラダイムの様相を窺う契機になりうるかも。
2016/04/05
けいこう
高橋源一郎の年譜の中身がころころ変わってるというところが面白かった。
2019/12/04
田中峰和
村上龍、村上春樹など現代文学に地殻変動を起こした作家8人のデビュー作が徹底的に読み解かれる。「限りなく透明に近いブルー」で龍はただ眺めるだけのカメラに徹して戦争を描いた。「風の歌を聴け」で春樹は現代アメリカ小説の文体をお手本にし、日本語の呪縛から解放された。米軍の街で育ちGIを間近に見てきた龍とアメリカ文学に魅了された春樹。高度経済成長下で育ちながら、全く別の問題意識から生まれたのが彼らの作品だ。かつての文学なるものとは根本的に異質なものを生み出し、いつの間にか日本文学の中心を支える作家になってしまった。
2016/10/08
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