罪の声
罪の声 / 感想・レビュー
starbro
話題になってから図書館に予約したので、ようやく読めました。新作ハンター失格です。塩田武士、初読です。週刊文春ミステリーベスト10 2016年【国内部門】第1位他、各賞ノミネートされるだけあり、骨太で読み応えのあるミステリでした。グリコ・森永事件をほとんど忘れてしまっているので、もう少し事件を知っていたら、より堪能出来たかも知れません。しかしこれだけ犯人の材料のある事件を警察は何故解決できないのでしょうか?闇の力が働いているのでしょうか?
2017/06/14
zero1
グリコ森永事件をテーマにした力作。本書が斬新なのは、警察による捜査ではなく事件に関わってしまった元少年の視点で描かれている点。多くの読者がここで共感したはず。新聞記者が交互に描かれている点も上手い。フィクションと事実がバランスよく混在している。小説は人間をどう描くかが大切だと再認識。後半は悲しい家族の物語に震えた。関連本として「レディ・ジョーカー」(髙村薫)という声が多いだろうが、私は宮部みゆきの「火車」を連想した。これから読む方は急がずにページを進めてほしい。17年本屋大賞第3位。今年ベスト候補第一号!
2019/01/23
nanako
大作です。最初は読みづらく、なかなかページをめくる手が進みませんでしたが、中盤以降は事件の核心に迫っていく話の展開に引き込まれ、一気に読んでしまいました。グリコ森永事件を追ったドキュメンタリ―番組を私も見た記憶がありますが、本当の事件の真相も案外この小説に近いのかもしれないですね。俊也の母の行動、心情はいまひとつ理解できませんでした。
2017/01/09
ウッディ
グリコ・森永事件の精密な模型を舞台にして、繰り広げられた極上のフィクションでした。脅迫に使われた幼い自分の声が録音されたテープを見つけた俊也と新聞記者の阿久津は、それぞれの目的を胸に、30年前の重大事件を調べる。自分の声を使われたもう一人の加害者であり、被害者である聡一郎と対面する場面は、涙が溢れて仕方がなかった。一つの事件の裏側で、人生を大きく狂わされた罪なき人がいるのかもしれない。重厚な内容でありながら、頁をめくる手を止められない。素晴らしい一冊、今年読んだベストかもしれないと思いました
2017/11/25
風眠
子どもの頃、父がグリコか森永の直売のお菓子セットを買ってきた事を覚えている。昭和の未解決事件、あまりに有名で知っているつもりになっていたけれど、私が覚えているのは、ニュース映像の似顔絵と「かい人21面相」という言葉だけだったなと、今更ながら気づく。『罪の声』とは、意思とは関係なく罪に加担させられてしまった、子どもの声。罪を背負わされ、人生を打ち砕かれてしまった子どもの声。犯人の空虚な動機、愚かしさ、利害。改めて実際の事件の事を知り、その裏にあったかもしれない人々の人生について考えた。事件の闇に迫った傑作。
2017/08/09
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