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クロコダイル路地2

クロコダイル路地2

クロコダイル路地2

作家
皆川博子
出版社
講談社
発売日
2016-04-20
ISBN
9784062200097
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クロコダイル路地2 / 感想・レビュー

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starbro

全二巻、760P超、一気読みしました。フランス~イギリスと舞台は移動し、劇的に展開します。フランス革命~英仏戦争~ナポレオンの台頭~産業革命と激動の時代の物語、堪能しました。イギリス編で路地が頻繁に登場し、正にクロコダイル路地でした。屍臭が漂う鰐の棲まうロンドンには住みたくありません。マダム・タッソー蝋人形館に行った事がありますが、マダム・タッソーがフランス人である事と本館が200年近く続いている事を初めて知りました。オーストラリアに流刑となったので、ひょっとして第3部オーストラリア編もあるのでしょうか?

2016/05/29

優希

舞台は変わってロンドンへ。フランス革命による傷が復讐という形に昇華されていったのが心理的な闇として刺さります。陰鬱でどんよりとした雰囲気に、歪んだ信念がしっくりと寄り添っているように思いました。奏でられる長い夢は闇を彷徨う姿そのものなのかもしれません。強く激しい想いが冷静に語られていくことで革命は過去となったけれど、残された代償は大きいと感じました。壮絶な革命は静かなフィナーレで幕を閉じるのが何とも言えない余韻を残しています。

2017/09/13

まこみん

フランス革命からイギリスへ逃れ、一見平穏に暮らすローラン達。でも彼らの精神の居場所は革命によって破綻され、ここにいるのは実体のない抜け殻。ローランは鰐となった自己を夢想する。殺人を犯した者でも裁かれないどころか裕福に易々と生きながらえる者、この不条理…「一つの事実にどちらから光を当てるかで、評価は正反対になる」「自由と平等の名において、人道の名において、神の名において、殺戮はなされる」「昨日の正義は今日の悪だ。今日の正義は明日弾劾される」かの地で彼らは再び黄金色の森を見つける事が出来たのだろうか。

2016/05/30

NAO

鰐は、革命によってあるべき位置から引きずりおろされ、暗黒部分へと放り出されてしまった者たちの恨みや怒り、無念さを食い尽くして人を狂気に陥れる。下巻ではコレットの復讐譚が主なエピソードとなっていたが、私自身はコレットにはあまり共感できなかった。コレットを見殺しにしようとしたブーヴェは確かに卑劣だが、貧しさを嫌って家族を捨て、力のある男たちに女の媚で縋り付いていい思いをしようとしたコレットには、あまり同情は感じられない。同じような境遇に育ったナントの兄妹とロンドンの兄妹の最終的な差は、何とも象徴的。

2016/08/05

mii22.

革命は終わった。革命で深い傷を負ったものは復讐のため殺人を犯そうとする。「人を殺した者は幸福になることを許されないのか」それならば革命で多くの無辜の命を奪った者が罰せられないのはなぜだ。不条理。ロンドンでは革命を経験したものと傍観者だったものとは同じ空間にあっても別の次元を漂っている。竪琴の全音階を奏でるような黄金の秋は彼らに二度と訪れないだろう。やりきれない思いと静な感動に身を震わせて読み終えた。「運命が運び、連れ戻すところに、われわれは従おう。」そこにわずかな希望を見い出したい。

2016/05/28

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