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不機嫌な姫とブルックナー団

不機嫌な姫とブルックナー団

不機嫌な姫とブルックナー団

作家
高原英理
出版社
講談社
発売日
2016-08-26
ISBN
9784062201872
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不機嫌な姫とブルックナー団 / 感想・レビュー

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のぶ

読み手を選ぶ作品かもしれないが、自分は面白く読んだ。作曲家としてのブルックナーの生涯を描きながら、ひとりの女性と3人のブルックナーオタクの交流を描いた、青春純文学と言えるかもしれない。NHKの音楽番組でやっていたが、ブルックナーは嫌いな作曲家のトップクラスにあるらしい。確かに長いし、繰り返しが多いので、慣れるまでには忍耐が必要かもしれない。ただ、好きになってしまうと荘厳で響きの美しい曲ばかりだ。自分の思っていたそんな事がこの作品に込められていた。

2016/10/24

昭和っ子

ブルックナーを生演奏で2回聞いた事がある。たたみ掛けるような迫力があってかっこいいと思い、興味があったのだが、こんな残念エピソード満載の作曲家さんだったとは。確かに洗練された感はないかな?ただ私は、非モテの究極とされる「嫁帖」を、こんな事で満足してくれるんだと微笑ましく感じた。19世紀ウィーン、作曲家や批評家達の音楽を巡る考え方の違いと、その人間臭い争い。結局後世に残るのは、真摯に自らの情熱を傾けた作品のみ。とりあえず性別を超えた、ブルックナーにまつわる友情が爽やかだった。見事にイッキ読みさせられた。

2017/04/18

trazom

抜群に面白い小説だった。全編を通して、ブルックナーの音楽が聴こえてくる。ブルックナーの女性への執着、交響曲第3番が初演時のウィーン・フィルからの苛めなど、ブルックナーの本質を伺わせるような説得力のある描写である。また、ハンスリックの煽動で、朴訥としたブルックナーが社会から痛めつけられる現象を、現代の「イジメ」に擬えて表現しているのも納得できる。ブルックナーという作曲家やそれを心から愛する人たちの心情を見事に投影した、素晴らしい小説だ。音楽を題材に、こうしたものが書けるのかという嬉しい読後感がある。

2017/03/06

ひなきち

ブルックナーという作曲家を、この小説ではじめて知った…。タケの創作だと思い読んでいたが、最後、本当に実在するとわかって驚いた。ブルックナーは、他の超人音楽家とは違って、弱気で不器用なところがとても魅力的…。その人間味あふれる生き様や音楽が、ブルオタというオタクを惹き付け、主人公のゆたきも、どんどん影響を受けていく…。さほど大きな変化はないが、読後感爽やかな成長譚だった。さっそくブルックナーの演奏動画を見てみよう♪

2016/11/08

buchipanda3

楽しく読めた作品。何かしらを偏愛する姿はとても滑稽だけど何か微笑ましい。19世紀末の作曲家ブルックナーを題材にした小説。クラシック音楽の話だが、とてもユーモラスに描かれ読み易かった。さらに何気に前向きな気持ちにさせてくれる内容で心地良い作品だった。ブルックナー好きの女性と男性3人組が出会った物語。彼らが語るブルックナー談は面白くもあり、イタい話でもあり、そして彼の粘り強い生き方に共感させられるもの。それと重なるように彼女らが自らの人生を前進させようとしていく姿が印象的。最後のセリフに思わず声が出た。

2016/11/01

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