花や今宵の
花や今宵の / 感想・レビュー
九月猫
初恋の相手を神隠しとしか言いようのない状況で失った小学4年生の少年。19年後、少年は大人になり、少女がいなくなった山に戻ってくる。神隠しとは神が隠すのか天狗が隠すのか、それとも山が、桜が隠すのか。鳴る山、真冬に咲く桜、平家の末裔、朔旦冬至……“優等生”の説く理論も常軌を逸しかけた“郷土史研究家”の持論も及ばない人智を超えた何か。ちょっと狐につままれたような気持ちにもなったけれど、作品としては嫌いじゃない。和田ラーメンの友情にぐっときたので、それぞれの幸せな風景が描かれるエピローグには、淡い切なさも感じた。
2016/10/19
千穂
小学生の時、ぼくは亜菜と入ってはいけないと言われていたしんのというぼくんちの裏山に入り、亜菜は神隠しにあってしまう。それからのぼくの心情の描写が痛いほどだった。それから19年後の朔旦冬至に再びしんのへ向かう。ぼくと幼なじみの和田ラーメンの友情も良かった。タイトルにもある平忠度の花や今宵のの和歌の哀愁がいい感じに流れていた。
2017/06/03
るっぴ
藤谷治作品、初読み。序盤は、退屈な感じだったが、終盤は、一気読み。平家の末裔伝説は、色々と聞いた事があるが、ちょっと胡散臭いと思っていたが、この本も胡散臭い感じがあった。結末は想像出来てしまった。
2016/11/04
ふう
タイトルの、忠度のエピソードが好きで、さらりと読み始めたが、ラストは理解できなかった。
2023/05/10
cocoa
不思議なストーリーだった。平家の末裔がつくったという言い伝えが残る集落ではしんのと呼ばれる不思議な山があり、そこでは真冬に桜が咲くという。小学生の智弦は、祖母の言いつけを破って同級生の亜奈としんのに足を踏み入れ、亜奈は忽然と姿を消してしまう。亜奈の神隠しから19年、朔旦冬至に再びしんのに入った智弦に起こった出来事とは…世界には理屈では証明できない事、抗えない神秘的な力があり、人はそれに畏怖の念を抱いてきた。物語だけどどこかで実際に起こりそうな話かも。作中、自分の田舎に実在する山がてできたのには驚いた(笑)
2016/12/16
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