七月に流れる花 (MYSTERY LAND)
七月に流れる花 (MYSTERY LAND) / 感想・レビュー
starbro
恩田陸は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書でミステリーランドというシリーズがあり、恩田陸の2冊で全30巻完結ということを知りました。最初、サスペリア的なホラーかなと思いましたが、物悲しく辛いファンタジーでした。著者が少年探偵団を好きだっただけあり、ゾクゾク感満載で頁を捲るスピードが加速しました。続いて「八月は冷たい城」へ。
2017/01/23
いつでも母さん
鏡の向こうに見えるものが気になった少女の頃。鏡が怖かったことを思い出す。そんな私の思いを遥か超えて恩田ワールド。考えなくていい、流されて夏を過ごした方が良いーそれは愛する人との最期を知ること・・少女たちの夏!少年たちの夏も読んでみよう。
2017/01/20
風眠
美しくて不穏で、ほんの少し色っぽい表紙。子どもの頃にこの本に出会ったら、まずこの大人っぽさに魅かれただろう。そして序詞、この文章を読んで、私は一気に子どもの頃に引き戻された。特別な何かが無くても、子どもの頃の夏休みには形容し難い寂しさのような、切なさのような何かがあった。もう子どもの頃には戻れない感傷が連れてくる、あの頃。私も緑男に会ったかもしれない。夏の城に行ったかもしれない。川面に流れる赤い花と白い花を数えたかもしれない。子どもの世界は狭いけれど、濃密で不思議がたくさん詰まっていた。子どもの頃の、夏。
2017/03/03
紅はこべ
八月を先に読んでしまったので、視点人物が何も知らないという設定のせいか、あっさりして物足りなく感じた。八月の前振りって印象。恩田さんはやっぱり少女より少年の方が描写に熱が入るね。
2017/08/25
🐾Yoko Omoto🐾
その町で「夏の人」と呼ばれる"みどりおとこ"から、林間学校の招待を受けたミチルは、五人の少女たちとともに、お城という特別な建物の中で、現実から隔離されたようなひと夏を過ごす。暮らしの中に定められた奇妙なルール、五人の少女が時折見せる不可解な言動の数々に、疑心暗鬼と恐怖心を募らせていくミチル。誰が何故、何の目的でという最大の謎に不穏な含みを持たせ、ダークファンタジーの様相を醸す物語が一転、残酷で物悲しいリアルへと着地する様は実に見事。読後の切なくも優しい余韻と、透明度の高い独特の世界観に魅せられる秀作。
2017/02/23
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