現代日本の批評 1975-2001
現代日本の批評 1975-2001 / 感想・レビュー
nbhd
ゲンロン批評座談会、加藤典洋「敗戦後論」の項目だけ読む。東浩紀さんは、批評の世界では89~01年まで「ある種の屈折への感性が問われていた時代」で、ゼロ年代は入るとその屈折がなくなったと言っている。それは、僕の会社の後輩などを見ていて、わりと素直に「平和」や「社会を良くしたい」と思っていて、その障害となる中動態的な悪や不正に対して意識的ではないかんじと、相似している。あと、LGBTが差別されてきた歴史を顧みることなく、LGBT?ぜんぜんOK(存在として許容)よ!とする態度にも似ている。
2021/04/19
giant_nobita
体系的ではないが、1975年から2001年の間に日本の批評にどんなことが起こったのかを知るための参考になる。年表も批評本のブックガイドとして重宝できる。座談会「近代日本の批評」に比べるとメンツが地味すぎるし内輪感があるとか、市川真人の基調報告が「『かわいい』という価値観」に支えられた「少女=消費」という意味不明のジャーゴンをテーマに設定していたりとか、個人的によく読んでいた福田和也を、東浩紀が「切迫感を感じない」「屈折がない」というただの感想で切り捨てているところが残念だった。
2018/01/08
oz
初読。どの分野においても、批評と研究を厳密に区分する事は出来ない。研究の手続き、論理性あるいは方法論の厳密さという点で区分しようとしても、研究機関で発表されれば研究だが、学術出版社以外から刊行されると批評になりえる。特に文学は学問の性格上、批評や研究成果をその到達地点から継承、展開してゆくことが少ない。批評史なるものの試みは統一的な視点からの記述にはなりえず、書名の列挙や読書案内になりがちである。文芸批評は概ね①文学史への関心②文学本質論への関心、のいずれかでなされる。
2018/09/22
さえきかずひこ
1975年から2001年までの日本の批評史について座談会形式で考察していく一冊。平成批評の立役者として小林よしのりが大きく取り上げてられており、そこはとくに面白く読んだ。加藤典洋『敗戦後論』の高い評価も印象的。
2018/02/02
カイロス時間
他の批評関連の文章(主に東浩紀のもの)を経てからの再読。どこか曖昧にしか捉えられていなかった批評というものを、今はクリアに見通せている感覚がある。それは批評界隈の知識が増えたこととは別に、本書を読む過程で、自分の中で知の組み換えが成されたからではないかと思う。本書は座談会ではあるが、そこには明らかに知的興奮がある。優れた論考がもたらすような知的興奮が。それは批評というものが、文芸にとどまらずあらゆる文化・社会事象に対して視線をそそぎ理論を構築する知の技法だからだ。(次巻へつづく)
2019/09/14
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