鉄鼠の檻
鉄鼠の檻 / 感想・レビュー
優希
単行本で再読です。シリーズの中で1番好きな作品でもあります。奥深い山中、古びた寺院を背景に語られる謎に引き込まれました。美しい殺人を誘う「拙僧が殺めたのだ-」の一言が最初と最後に繰り返されるのに鳥肌が立ちます。極寒の雪景色と共に見せる世界に魅せられるのですよね。
2018/04/25
ともくん
[再読] この世に起こり得ないことなどない― この世は、起こり得ないことは起こらない。 しかし、結界の中に入り、魔に魅入られたなら、起こり得ないことも起こり得るのだろうか。 結界の檻に閉じ込められ、出られなくなった鼠どもが、突然動き出した時間の中に放り出された時、何が起こるのだろうか。
2021/10/17
みやび
4度目の再読は豪華な愛蔵版で。やはり何度読んでも新しい発見があり惹き込まれる。色も音も無い一面の雪景色の山中に、京極堂でさえ知らなかった謎の寺と僧侶達。このシチュエーションが堪らなく好きだ。辞書のように分厚いので、途中で禅宗についての書物を読んでるような錯覚に陥りつつ、その難解さがまた心地良く感じられてしまう不思議。今回は言葉を駆使する京極堂が苦戦するが、その分ある意味力技にも見える榎さんの強力なやり方が、頑なにしがみ付く者の檻をこじ開ける。長く止まっていた時が一気に流れ出し、最後に残るのは「空」のみ。
2022/01/30
テツ
「拙僧が殺めたのだ─」季節に合わせて愛蔵版で再読。重い。物理的に。山中の禅寺を舞台に次々と起きる殺人。考案に見立てられるかのように遺棄される遺体。純白の山中と僧たちの黒。色を失った世界にまぎれ込み戸惑い翻弄される関口たち。何度読んでも京極堂シリーズで一番好きだな。中禅寺の憑物落としよりも、中盤で榎木津がまくし立てるシーンが好きだ。僕はそれが向けられる相手のことが大嫌いなのだけれど、榎木津の言葉により何かが破壊され自分に至りかけたところだけは好きだ。一冊読むとシリーズ全て読み返したくなりますね。
2019/01/25
クライゲッコー
夢を見た。このシリーズを読むとよく似たような夢を見る。京極堂と榎木津、そして関口君と話しているのだ。 京極堂の所へいつもの古本を売りに行くと、そこへ居合わせた榎木津がドタバタと騒ぎ立て、やれやれとその場を後にするのである。 そのあと、関口君との待ち合わせにいつもの小料理屋に行くと、既に彼は一杯始めていて泥のついたままの蒸かし芋やらを勧めてくるのだった。 いやはや、幻想的にまでも思えた彼らとの奇っ怪な邂逅は言葉に起こすとこうも馬鹿馬鹿しく思えてくるのが不思議でならない。 ああ、その時の心持ちが逃げていく。
2019/04/14
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