覆面作家
覆面作家 / 感想・レビュー
starbro
大沢在昌は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。半分私小説のような連作短編集、ミステリ色少な目の作品でした。オススメはボサノバのメロデイが聴こえてきそうな『イパネマの娘』です。本作も面白くなくはないですが、新宿鮫シリーズが5年以上出版されていないので、来年こそ新作をお願いします。
2017/11/12
utinopoti27
代表作「新宿鮫」シリーズをはじめ、数々のハードボイルドを主体とした長編を手がける大沢さんですが、本書に収録されている8つの希少な短編も、個性的で味わい深い仕上がりです。中堅作家の「私」が見聞した内容を語る形式で展開する、現実とも虚構とも判然としない不思議な世界。観光も産業もこれといったウリのない、忘れられた限界集落の意外な振興策を描く「村」や、ある風俗店のドライバーが抱える恐ろしい秘密を描く「確認」など、30頁あまりに凝縮された大御所の力量を、あらためて堪能できる、お得な一冊です。
2018/03/27
R
探偵めいた作家が、様々な奇妙な事件に触れるといった感じの短編連作。実際は連作じゃないのかもだけど、共通した設定に読めてかなり面白かった。推理もよいが、どこかオカルトめいているような部分もあって、様々な短編が楽しめた。特にプロの殺し屋についての考察と物語が白眉で、リアルと作り話とのかけ合わせ方が絶妙だと感じて実際ないだろうと思いつつも、こういうのならあるかもみたいな感じを浅すぎず、くどすぎずにやってのけているのがよかった。読みやすくてあっという間にページがなくなった。
2022/12/21
タックン
大沢さん自身を描いた私的作品。大沢さんの見解はミステリーの説明部分やエッセーでよく述べられてるので目新しいとこはなかったなっていうイメージがある。私的なとこはどこまで本当でどこまで創作なのかなあ?表題の(覆面作家)と(イバネマ娘)がよかった。
2018/01/18
いたろう
推理小説作家の「私」が主人公の短編8編。原稿は手書き、取材はしない、よく銀座で飲んでいるという作家の姿が、そのまま大沢さんと重なる。本当にこんなことがあるのかというような都市伝説めいた話や過去に関わりがあった人の思い出が偶然蘇る話、等々、夜の酒席で酒の肴に供されるような話の数々。長編に比べて、気軽に楽しんで書いているように思える。中でも、偶然耳にした日本語で歌われるボサノバに、それを歌っている女性歌手を思い出す「イパネマの娘」がいい。「イパネマの娘」の日本語版が本当にないか、思わずネットで探してしまった。
2018/03/17
感想・レビューをもっと見る