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九十八歳になった私

九十八歳になった私

九十八歳になった私

作家
橋本治
出版社
講談社
発売日
2018-01-13
ISBN
9784062209144
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九十八歳になった私 / 感想・レビュー

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小鈴

今から30年後、98才になった老作家。東京に大地震が来て大火事になって、住んでた家は倒壊しかかっている。少子高齢化社会で東京一極集中なんだから若者が一気に死んじゃっていっこうに復興は進まない。主人公は日光のプレハブ小屋に避難してもうすぐ100才を迎えようとしている。この本の凄いところは「ただ、それだけ」なところ。それでも生きている老人の日常。だからぼやき小説です。フィクションなんだけど、そのままんま橋本治です。これぞ終わり無き日常なんですよ。これが坂を上ってすることのない日本の姿なんですよね。

2018/01/20

天晴草紙

高齢者エッセイではなく近未来空想科学私小説だそうで、東京大地震が起きて仮設住宅暮らし、人工恐竜プテラノドンがカラスのように飛び回って自衛隊が駆除する世界で老人がぼやく話です。純文学雑誌「群像」に連載されたものと知ってびっくり。著者のご冥福を祈ります。

2021/03/10

メルル

著者が三十歳かさ増しの九十八歳だったらという、近未来について書いた私的フィクション。見事なまでに痛烈なジジイっぷりを発揮。みんな、日常的に愚痴っていそうなことを文字に起こすと面白いなぁ。まあ、そうだよね。世の中矛盾だらけなのに、何となく容認しているというか…。唐突な感じのプテラノドンの存在が近未来空想科学。名作ジュラシックパークを教訓にしないなんてダメな世の中だな。

2018/02/07

くさてる

30年後を予想して、98歳の橋本治が書いたという形式の、なんとも摩訶不思議で落ち着かない読み心地の作品。リズムが分かるまで、どうしようかと思ったけれど、あ、これはリアルなお年寄りの目線からの文章なんだと分かった瞬間、すっと入った。皮肉と無力感に満ちた高齢者の日常は、きっとこうなんだなと思うと、183頁の述懐とか、たまらなかった。読み流したらなんだこりゃ、って感じかもしれない。でも、身体のあちこちが痛くていろんなことを忘れて、ありとあらゆるものを見てきた人間の、ぼやきを創作したものと思うと、とても良かった。

2018/02/17

びっぐすとん

図書館本。斎藤美奈子さんの著書で紹介されていたので。これは耄碌小説とでもいうのかな(笑)疲れた、眠い、何だっけ?めんどくさい。別にもう生きていたくもないけど死なないから生きてる98歳の独白。著者橋本氏の仮想未来。よく読めば大震災にみまわれた老人ばかりのディストピアなのに98歳の思考は長く続かない為靄がかかっている。長生きが良いとは言えない世の中になっていく今、笑いの中にヒヤリとしたものが混じる。橋本さんは残念ながら98歳までは生きられなかった。この本のあと70歳で亡くなられた。私達の老後が怖い。

2020/11/12

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