独り舞
独り舞 / 感想・レビュー
榊原 香織
台湾若手が日本語で書いた小説デビュー作。 LGBT、台湾人、過去のトラウマ、と、いろいろ大変な20代後半女性。日本で就職中。LGBTて、台湾では圏内人ていうらしい。 さっくり読める青春後期小説。割と面白い。
2021/02/18
なゆ
ほお、これが第60回群像新人文学賞優秀作受賞のデビュー作でしたか。ここからもう、台湾✕日本✕セクシャルマイノリティというスタイルが出来ている。でも、この作品は“死”が常にちらついてとても重い。レズビアンだっただけなのに、迎梅(紀恵)の人生は茨の道だ。とんでもない「災難」まで降りかかり、どんどん孤独の闇にはまっていく。一旦は這い上がっても、「災難」が邪魔する。いろんな人と関わりあってても、いつも彼女は独りだった。薫みたいな女じゃなく、痛みを分かってくれる相手に出会ってほしいと思うばかり。
2021/08/24
いちろく
著者が台湾出身であり日本語で描いた作品でもあるデビュー作。自身のセクシャルマイノリティと不幸な出来事が重なり、名を変えて台湾から日本へと移った主人公の紀恵。正直な話、物語から受けた印象だけでセクシャルマイノリティの事に関して、アレコレ言えないし、言うつもりもない。ただ、改めて一端でも知るキッカケになったが本音。デビュー作な事もあり、前に読んだ著者の作品と比較して独特な状況描写は弱い印象。
2021/04/25
ケイティ
とてもとても良かった。台湾人が日本語で書いた小説だが、その語彙力や表現力に圧倒された。同性愛者の迎梅は、ある事件をきっかけに台湾での自分を捨て、名前を変えて日本で生活を始める。しかし、どこにいても過去のトラウマに振り回され、LGBTマイノリティとしての疎外感、幸せ、愛、憎しみなど、若い彼女の手に負えないほど降りかかる。そんな揺れ動く感情が衝動的かつ繊細に描かれる。三人称なのに、とても主観的で少々混乱したが、その温度差がリアルで叙情的な印象を演出していたような。今後も期待大の作家さん。素晴らしかった。
2019/10/04
PAO
「そこには時間も無ければ、空間もない。だから精力が尽きるまで、生のエネルギーが果てるまで舞い続けるしかない」…(181頁)
2021/08/24
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