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兵 / 感想・レビュー
starbro
木下昌輝は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書のタイトルは、『兵』と書いて『つわもの』と読みます。戦国乱世の武将(兵)を巡る連作短編集、著者の凄味が良く出ていました。但し、決戦!シリーズで発表済作品が約半分占めているので、既読の方は要注意です。オススメは『火、蛾。』と『道鬼斎の旅1~3』です。兵どもが夢の跡! http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062209557
2018/03/27
いつでも母さん
決戦!シリーズを繋ぐ、道鬼斎の旅が上手いなぁと。既読の作品も新鮮に読める。『日の本一の兵』とはーこの乱世を懸命に生きたすべての人々のことなのだーに拍手喝采。古今東西、今に至っても尚一番逞しいのは市井に活きる人々・老若男女なのだ。肩書や、勲章などない。自分のいる場所で精一杯生きる。それで十分なのだ。それが幸せだと思えたら更に良い。生きる事は闘う事。闘う事は常を活きること・・そんなことを思って読了した。
2018/03/22
yoshida
「決戦!」シリーズで発表された作品に書き下ろしの「道鬼斎の旅」三編を加えて、連作短編集としている。斬新な解釈に引き込まれて読ませる。解釈に違和感を覚えないのは、木下昌輝さんが史実の研究を丹念に行っているからだろう。特に好きな作品は若き加藤清正を描いた「槍よ、愚直なれ」。若き日の清正と想いを交わした千。山路将監に千が見初められたことにより清正の想いは破れる。乱世は再び清正と千、山路将監を引き合わせる。ラストで戦場を駆ける清正が哀しくも清々しい。木下昌輝さんのは現在の歴史小説家として目が離せない。意欲作。
2019/04/07
nico🐬波待ち中
日ノ本で一番の兵(つわもの)を探し、天下の混乱を正す。乱世の戦を渡り歩く道鬼斎が物語全体のストーリーテラー的存在となり各短編を繋いでいく。道鬼斎の客観的視点がとても面白い。信玄、信長、秀吉、幸村、家康…何れ名だたる武将も、道鬼斎目線で追うと人間くささが色濃く出て来て魅力的。人は逆境に立った時にこそその本質が明らかになる。動乱の世を制する天下人の器、まことの兵について考えながらそれぞれの戦を洗い出す作業はとても面白かった。そして野望を持つ男達の、智力と腕力を最大限に引き出した駆け引きに魅せられた。
2018/06/03
とん大西
はたして日ノ本一の兵は誰か、そもそも日ノ本一の兵とは何か。関白の座を狙う菊亭晴季親子の命を受け、英傑豪傑らとの邂逅を重ねる道鬼斎。9つの短編は桶狭間の戦いから大坂城落城までの連作。信玄、信長、家康-歴史の分岐点に必ず居合わせる道鬼斎が時と戦場と英雄達を螺旋状に紡ぐ。謀略の上に謀略を重ね合わせる本能寺の変しかり、大坂の陣しかり…。歴史ミステリーの如き伏線の回収はさすがに木下さん、お見事。ただ、仕掛けが少し凝りすぎてるようで読むのにちょいと疲れました。面白かったけどね(^o^;)
2019/07/19
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