路地裏人情―市井小説集1 (時代小説ベスト・セレクション 第3巻)
路地裏人情―市井小説集1 (時代小説ベスト・セレクション 第3巻) / 感想・レビュー
ポチ
9人の錚々たる作家による市井に生きる人々のアンソロジー。人情も交えながらの話しに浸りながら読了。1994年の作品。
2021/12/14
Tanaka9999
1994年発行、講談社のソフトカバー本。9編。藤沢周平『恐喝』雪明かりに収録。話の筋の意外性では一番ではないだろうか。そしてバッドエンドにもかかわらず残る余韻。宮部みゆき『送り提灯』既読。怪異を基にした人情の機微。北原亜以子『証』最後まで話が一直線だが、詰め込んでない分、短編としても面白い。この中に入る作品でもちょっと詰め込みすぎてわかりにくくなっているのではないかと思う作品のあった。
2023/06/03
山内正
弁当半分食べた時組屋敷から 言い合う声がし紙屑買の和助は知合い山上長十郎が侍に囲まれて立去る 和助は父の借金返済を証文無しで 約束し返し続けてる 以前旗本屋敷辺り火の手が出て手桶で夢中で消しに掛かる 手を貸せと呼ばれ中間と一緒に 大事な品を持出したと礼の金を頂く 奥右筆の仕事に秘密書類は付き物 中間が屑紙寄場で屋敷から持出した 書類を改め聞き明らかにした 京から幕閣への手紙を内密にした 長十郎が明かす お陰で京へ移る事になった 町奉行からお前の借金は払わずに良いと知らせが 達者で暮らせ和助
2021/02/03
山内正
巳年生まれのおりん十二 お嬢様の代わり回向院へ丑三刻に 願掛け参りを頼まれる 手代清助は勝手な頼みだ言ってやる 断るとおりんはもっと辛いからと 夜道の途中音が恐い回向院が見え 駆込み転ぶ 小石を拾い駆け出す 一の橋まで来て提灯の明りが見えた 持ってる人がいない、送り提灯? 大野屋が近づき清助が待っていた 次の晩もその次の晩も提灯が付いてくる、あれは清助さんじゃ? 一月が経ち大野屋に明りが何かあったのか? おりんちゃんと岡っ引きが声を 中にいなくて良かった押込みがと 願掛けの男が仲間だ 後ろに提灯が見えない
2021/01/31
山内正
両国の花火で長屋も静かだ官軍が江戸を歩き回り嫌な世だと 灯篭の影で咳込む娘が りよと名を 身寄りの無さそうで父親はと聞く 伊勢屋利三郎?あの? 内緒の子です 母は三年前に死んだ二十日一人で暮したと 一眠りしなと寝かす 歌川芳広だった二十五年前遺した絵をまだ持ってる 松に手を掛け見上げる細い身体 嬉しさに震えてたこの娘、どう描きゃあいい? 娘は描く絵を食入る様に 嬉しい私仕上るまで生きていたい 出来たのかい、長屋のおかねが顔を出す もう出て行くよ迷惑掛けた 明日だっていいよ 丼に卵が三つ食べさせておやりよ
2020/11/03
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