過ぎる十七の春 (講談社X文庫 おC- 10 ホワイトハート)
過ぎる十七の春 (講談社X文庫 おC- 10 ホワイトハート) / 感想・レビュー
真理そら
『雨柳堂~』の波津彬子さんのイラストが雰囲気にとても似合うホラー物。ホラーだけれど美しく哀しくてまったく怖くない。BL物っぽいカバーだけれどそういう要素は皆無。田舎の春の花々の美しさや夜の匂いが実感できるような描写が素晴らしい。こんなに田舎で茶道教授で生計が成り立つのだろうか、というような疑問は持ってはいけないんだろうなあ。
2023/02/05
そのぼん
いとこの住んでいる家を訪れた兄と妹に降りかかった恐怖の物語ー。優しかったはずのいとこの少年が徐々に変貌を遂げていき、徐々に物語は不穏な空気を醸し出していきました。イラストの雰囲気も作品のなかに流れる『和』の怖さを倍増させていたと思います。面白かったです。
2013/07/27
みや
読書会紹介本。17歳を間近に控えた従兄弟2人が怪異によって変貌していくホラー。表紙が苦手な雰囲気で身構えてしまったが、そこはやはり小野不由美先生。薄気味悪くて面白くて読みやすくて、出先で細切れに読んだにも拘らず、作品世界にどっぷりと浸れた。なかなか明かされない怪異の真相に焦らされ、脳内で想像が広がっていく。途中に繰り返し挟まれる謎のエピソードもそれを煽り、ゾクゾクする感覚に悶えた。子の幸せを護る母の覚悟も、狂気に堕ちた母の執念も、重すぎて苦しい。この愛を美しいとは思えないのに、最後は心が温かくなっていた。
2018/08/13
ヒロ@いつも心に太陽を!
美しく花が咲き乱れる、都会の喧騒とはかけ離れた春の山里で繰り返されようとする悲しい出来事。前半、隆ちゃん含め暮らす人も里の様子もとても穏やかな描写だっただけに、女が現れてからの怖さが静かに引き立つ。なんでこんなにぞわりとする書き方が出来るんだ、小野先生!でも怖さよりも切なさが残る読後感。「・・・そこにもははがいたか・・・」母の子を想う気持ちはいつの時代も強い。痛すぎるほどに。小説の挿し絵も雰囲気にぴったりだったけど、コミカライズされてる方の作品もぜひ読んでみよう!!
2011/02/20
ニンジン
小野不由美さんの初期の作品。 まず春の描写が美しく都会の喧騒の中にいてましてコロナ禍の今、ホラーという事も忘れうっとりとした気分になりました。しかしこの後の展開が怖い… 大切なものを無惨に奪われた恨みがいつまでも消えずに残っている怖さも得体の知れないものが這い寄る怖さの両方が描かれて流石だと思いました。
2021/06/21
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