大学病院が患者を死なせるとき: 私が慶応大学医学部をやめない理由 (講談社+アルファ文庫 C 12-5)
大学病院が患者を死なせるとき: 私が慶応大学医学部をやめない理由 (講談社+アルファ文庫 C 12-5) / 感想・レビュー
すしな
131-23.がんの治療というと外科手術か抗がん剤かというイメージですが、こちらは放射線治療の先生が書かれた本です。昔の本なので今はどうかわかりませんが、日本のお医者さんは伝統的に切って取る治療をしたがる傾向があり、実際治る人も多いとは思いますが、癌が消えても、後遺症が残りその後の人生のクオリティがかなり下がった人の事例が書かれてありました。究極の選択として、不自由して長生きするか、今まで通りで簡潔に終えるかになりますが、患者さん本人が決断できるかどうかにかかっているのかなと思いました。
2023/12/26
マッピー
30年以上前のこととはいえ、がんに対する医療行為の無惨に、読んでいて苦しくなってしまう。癌を切除する手術によって、体力が低下し、免疫力が低下し、傷口から入った細菌により感染症になったり、傷口が壊死したり。実は手術なんてしないほうが生存率が高くなる、と。現在はまた医療技術の向上や、有効な抗がん剤などで、必ずしも開腹手術に頼らない治療になっているけれど、もしかすると私が知らないだけで、今でも不当な治療で苦しんでいる人がいるかもしれないと思ったら、ちょっと耐えられない。癌は切除すれば終わりというわけではない。
2024/02/08
うたまる
「がんで死ぬのは自然だが、治療で死ぬのは不条理そのものではないか」……日本の外科医に異を唱え、わが道を行く放射線科医師の半生記。医学界重鎮との闘いは、謂わばリアル『白い巨塔』。一方的主張や誇張の嫌いもあるかもしれないが、著者の問題意識は真っ当で先駆的に思える。特に1970年代のがん治療とその副作用は治療というより”実験”にしか見えず、患者視点が全く無い。「治療法の優劣が無い場合、無理に切らなくてもいいのでは」という問いかけに「若いドクターのトレーニングのためにも、手術することが必要」には反吐が出る。
2013/05/22
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