江戸歌舞伎の怪談と化け物 (講談社選書メチエ 421)
江戸歌舞伎の怪談と化け物 (講談社選書メチエ 421) / 感想・レビュー
HANA
江戸歌舞伎と銘打たれているものの、内容はそれだけに留まらず江戸時代の妖怪や幽霊全般に渡っている。どちらかというと研究書というよりエッセイといった趣が強い。また内容も多岐にわたるせいか、漫然とした印象を受ける。それでも金毛九尾や化け猫の変遷等は初めて知ったし、「化ける女」の歌舞伎における二重性等も興味深い。ただフランケンと四谷怪談等はどうかと思うし、過去の作品をフェミニズムで語るのはどうかと思ったけど…。なによりも著者の語り口が楽しげなのがよろしい。趣味を語る時って人間誰しもこういう口調になりますよね。
2013/09/26
やま
『フランケンシュタイン』と『東海道四谷怪談』を比較して、男性作家である南北の視線から排除されたお岩さんの母としての側面を掬い出す。触れられていなかったが、当然、事件の場所(伊右衛門浪宅)が鬼子母神付近であることを考えれば、もっとスリリングな解釈ができるはずだ!
2014/07/19
qoop
様々に変化する役者の一形態として化け物を賞玩し、適度に怖がられる娯楽として怪談というジャンルが発展してきた…と云うのが本書の骨子。妖狐から化猫への人気の移り変わり、怪談見せ物の普及、男怪に比べ女怪が多い理由などなど、肉付け部分も示唆に富む。特に、フランケンシュタインとお岩の比較から女怪の意味を解き明かすくだりなど、興味深く読んだ。また、四谷怪談などの仕掛けは初代林屋正蔵の案に基づくというのは落語好きとして気になる指摘。要チェック!
2014/07/04
ekura
おもしろかった歌舞伎の男が演じる異形の女が、アンリアルであるからこそ女性性を表現できるというくだりで、マツコ・デラックスを思った。おすピー以来テレビを彩る異形の「彼女」達の毒舌もアンリアルであるからこそ受容されるのであろう。
2010/01/20
戦狐
江戸の歌舞伎文化の仕掛けや事情を中心に、その演目となる四谷怪談などの形成や変遷が詳しく紹介されています
2017/07/18
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