李歐 (講談社文庫 た 66-1)
李歐 (講談社文庫 た 66-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
CIAと中国政府の暗闘といった壮大なスケールで国際謀略が語られるのだが、物語は一貫して主人公の一彰に寄り添い、きわめてintamateに時間が進行する。読んでいる途中もそうだが、読み終わって、あたかも一つの人生を生きたかのようだ。そこはいくつもの静かな哀しみに満ちていたようでもある。そして、同時に何か名付けようのない憧憬もまた存在した。女性の作家だが(あるいはそれ故にか、)男の心情に潜むある側面を見事なまでに摘出した作品だと思う。ここに登場するのは、ことごとく怪しげな男たちなのだが、それがまたいいのだ。
2017/02/17
ミカママ
読友さんたち満場一致のおススメ作、期待が大きすぎたかな。結論から言うと、機械や銃に関する記述がくどくどと冗長になって、もう少し短くできたんでは?・・・の割には主人公や李謳のキャラが際立ってこない、主人公が李謳に惹かれていく感情の動きも読めなかったなぁ。ラスト、奥さんたちはああなっちゃって、男子ふたりが子どもを育てていく、これはBLなの?
2015/10/25
KAZOO
太田愛さんの作品に触発されて、高村さんの作品をいくつか再読しようと思って読んで見ました。これは「わが手に拳銃を」の別バージョンのような感じなのですが、男同士のやり取りが女性が書いた割には結構うまく書かれていると感じています。主人公あるいは李歐の生い立ちなどからくるものをうまく取り込んでいて最後まで飽きさせない感じでした。
2017/11/06
小梅
初読み作家さんでした。壮大な作品で登場が少ないのに李歐の存在感が凄い。イメージがバナナフィッシュと重なる感じがしました。性別を超えた愛に惚れた〜他の作品も読んでみたいです。
2015/06/02
いつでも母さん
タイトルは人名だと思わず、しかし帯が教えてくれた。愛も夢も時代も熱も、そして悪も。これは髙村薫の最高傑作ではないだろうか(と、言うほど読んではいないが)最近読んだ『流』と比較は出来ないのは勿論なのだが、私はこっちが好き!「李歐よ、私も君に会いたい」お勧めの1冊であります。薦めてくださった方々に感謝。
2015/09/03
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