触れもせで: 向田邦子との二十年 (講談社文庫 く 36-1)
触れもせで: 向田邦子との二十年 (講談社文庫 く 36-1) / 感想・レビュー
こばまり
【再読】著者も鬼籍に入られて久しいが、今読み返せばこれは戦友への胸苦しい程のラブレターだ。併せて読みたい読み返したい書名が続々サラリと出てきて嬉しく困る。今回、己の記憶違いが一つ訂正された。向田氏をして「突然あらわれて、ほとんど名人である」と評したのは山口瞳氏ではなく山本夏彦氏。年回りを考えれば納得。
2016/09/25
もりくに
向田邦子さんの「脚本」を、久世光彦さんが「演出」するドラマが、とても好きだ。この本は、「向田邦子との二十年」と副題されている。二十年も近くに居れば「ひょとして」と下世話な者は考えるが、「触れもせで」。「ただの一度も、どこにも触ったことがない」と。毎晩のように仕事だか遊びだかわからない付き合いをして、泊まったことだってあるのに。彼にとって向田さんは偉い人でもなく、取り立てて優しくしてくれた人でもなく、かと言って嫌な人でもなく、「どこにでもいそうで、どこにもいない、そんな人だった」と。だから、思いきれないと。
2020/01/23
nonpono
真夏に向田邦子のドラマを毎年、見ていた。ナレーションが黒柳さんで加藤治子がお母さんで娘に田中裕子で相手役が小林薫で。なんて豪華な物語だろうか。終戦の日の熱い太陽について必ず語る。この一冊は久世さんとの出会いの本。向田邦子原作に久世光彦という演出家がいることに気付く。そんな久世さんと向田さんとの懐かしい日々のエッセイである。美しい日本語が堪能出来る一冊。久世光彦という作家の始まりの一冊である。久世さんの新刊を待ち遠しく思えた日々も贅沢なことである。久世さんのよう美しい古くからの日本語を使い残したいと思う。
2024/09/04
桜もち 太郎
「どこにもいそうで、どこにもいない。そんな人だった」って、やはり久世さんは彼女の事が好きだったのでしょう。ドラマで「トットてれび」をやっているが、向田役のミムラさんの雰囲気がとてもいい。本人の写真と見比べてもミムラさんに負けていない。エッセイではなかなか本音を語らない向田さん。久世さんの前ではどうだったのでしょう。好きな男の前ではどうだったのでしょうか。気になります。
2016/05/21
osakanazuki44
著者は、プロデューサー。弟妹とは違い、ドラマの共同制作者としての目線からの向田邦子像。
2024/02/08
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