取引 (講談社文庫 し 42-2)
取引 (講談社文庫 し 42-2) / 感想・レビュー
修一朗
「連鎖」に引き続き小役人シリーズ第二弾,フィリピンでの追跡劇が延々と繰り広げられる677ページ,長かったです。公取職員の仕事ぶりが描かれる前半はためになって面白かった。のだが役人がささやかな権限を使って巨悪と戦うハードボイルドっていうのが期待値だったのにフィリピンで再就職しちゃうし,フィリピンの警察官を相棒にして追跡劇,それ自体はまぁ楽しいけども,お役人の矜持だとか悲哀はどこへ行った? っていう延々とアクションシーンの連続。サスペンスとしてのオチも残念でした。とりあえず長かった… 次は「震源」へ。
2019/05/21
背番号10@せばてん。
【1993_このミス14位】1996年6月15日読了。小役人シリーズ。本書の主人公は公正取引委員会審査官。自分が小物のためか、この『小役人シリーズ』は存外、好みであります。
1996/06/15
再び読書
改めて真保氏の凄さを実感しました。ほぼ700頁の物語を息もつかずに読み進めてしまいました。「連鎖」に続く2冊目で少し気楽に読み始め、そのぶ厚さに少し読めるかな?と心配していた事は杞憂に終わりました。「ホワイトアウト」「奪取」に匹敵する読み応え充分の物語でした。最後は涙を抑えるのを苦労しました。外で読んでいなければ、多分泣いていたと思う。引き続き真保氏の本を読んでいきます。しかし子供の売買は許されざる極刑が必要な犯罪である。この世から抹殺される事を、無力の親は願わざるを得ない。
2014/02/21
ヨーコ・オクダ
長編ハードボイルド?正義の男、公正取引委員会の審査官・伊田が主人公で、何者かの罠によって辞表を出さざるを得なくなる。この入り口は確かにミステリ。で、割と早い段階で罠のカラクリがオープンとなり、フィリピンのODA利権がらみの日本企業、政治家の悪事に迫るミッションが彼に与えられ、経済色、社会派色が強くなるのかと思いきや、高校時代の友人の子供を救うためのアクション劇で結構なページ数が占められていたり。それはそれで惹き込まれるストーリーやったので良かったけど、タイトルとか最初の印象からはズレてしもてるような…。
2017/10/20
Tetchy
ちょうどフィリピンに赴任していた時に読んだのだが、いやあ真保氏の描写力は全く凄い。空港を降り立ってホテルにチェックインするまでの流れはもとより、フィリピンでのビジネスについても作者は熟知しており、終始ニヤリとするとともに、感嘆を禁じえなかった。ただそれだけに物語の軸がぶれているのが悔やまれる。密命を帯びてフィリピンで行われているODAの大型プロジェクトの不正を暴くという目的が、いつの間にか誘拐事件のお話になったのがどうにも腑に落ちなかった。
2009/12/15
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