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なにもしてない (講談社文庫 し 47-1)

なにもしてない (講談社文庫 し 47-1)

なにもしてない (講談社文庫 し 47-1)

作家
笙野頼子
出版社
講談社
発売日
1995-11-01
ISBN
9784062631587
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なにもしてない (講談社文庫 し 47-1) / 感想・レビュー

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あ げ こ

その心を蝕むよう鬱積する後ろ暗さを生み出したもの達…身勝手な要求、腐敗し切った因習による抑圧。執拗に注がれ続けて来た悪意。何やら凄いものが充満している。蠢いている。現実をより醜悪に歪めて象る夢。より濃さを増すよう、苦しみや痛みの形をも変え。幻覚や夢想に興じ、内に閉じ籠る形での逃避。段々と酷くなる症状さえ利用し、大いに遊ぶ無茶な逃避はしかし、現実を生きる為に必要としたもの。自らを守り、とどまる為に必要としたもの。陶酔や耽溺よりも随分と切実であり滑稽であり、そうする事で、閉じ籠る事で、正気を保っているような。

2015/11/25

やどかり

ページ数は多くないのに、読むのにすごく時間がかかってしまった。著者の心象風景が語られているようなのだけど、外界との境目であがいている様子は、ドストエフスキーの「地下室の手記」のように感じた。解説に群像新人文学賞を受賞された時の選評が載っていたけれど、感想はまさにそれ、『気違いじみた熱気』

2014/10/26

ミツ

文庫にて再読。表題作ほか『イセ市、ハルチ』を収録。 観念的私小説の最終形態とでも言おうか、幻想文学の極点と言うべきか。 一人称の私によるモノローグで語られる現実と幻想、強烈なエゴに捕われた強迫観念と被害妄想により魔術的に異化された言葉によってぐにゃりぐにゃりと歪む世界の様相にただ翻弄されるばかりだった。 また私小説の在り方、書く行為の虚構性といった月並みなテーマを私小説の側から、確信犯的にエゴを徹底させることで書き切っている点はとても潔く素晴らしい。ただ娯楽性は少なく、人を選ぶだろう。佳作。

2010/01/04

Toshi

素晴らしい、本当に素晴らしい。やはり笙野頼子が1番凄いと思った。何が凄いのか言葉に出来ないが、とにかく大好きだー。気付いたがどの1文を取っても完璧、自らを削って、尋常ではない熱気を孕んで、言葉でここまで表現出来る人って・・・タイトル作は手に湿疹ができてってお話し(^O^)/

2016/05/21

atomos

表題作は、大幅に改稿されているというし、河出文庫の三冠小説集でもう一回読むことにする。併録の「イセ市、ハルチ」は、郷里の記憶を失った私が帰省する話で、地縁・血縁の気持ち悪さを十二分に堪能できた。

2014/05/11

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