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氷炎 (講談社文庫 た 54-3)

氷炎 (講談社文庫 た 54-3)

氷炎 (講談社文庫 た 54-3)

作家
高樹のぶ子
出版社
講談社
発売日
1996-04-01
ISBN
9784062632133
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氷炎 (講談社文庫 た 54-3) / 感想・レビュー

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ミカママ

「赦されない恋愛」を読むのが好き。読んでいる間じゅう、その世界に遊ぶことができるから。不倫している男女って、男性は2倍(奥さんと恋人と)愛することができるけど、女性は100%の中で夫と恋人を仕分けしているのかも、なんて。(「恋人が近づいた分だけ、夫が遠のいた」のくだり)作中、氷見子のセリフがすごい。「先のない恋だから、日々の生活を焼きつくす」「傍にいても遠い人もいるし、遠くにいても近くに感じる相手もいる」ああ、身につまされる。久しぶりに香をたきこめて、かなわぬ恋愛の世界にしばしわが身を置いてみたい、です。

2015/10/31

じいじ

 京都を舞台に描かれた大人の恋。心のうちは激しく炎をあげているのに、表面は静かに進展する恋物語。不倫という不条理は承知の上で、主人公に身を寄せて読んだ。面白かった。著者の文書力に感服。二人が恋の成就に燃え上っていく描写が巧い。逢瀬の情景表現に卑猥さを感じないのだが官能的だ。男の心情描写も見事。主人公は妻に何一つ気づかれずに、妻にも優しくふるまうことができた。妻との会話で「不倫」という言葉に反射的に緊張していまうのは、男の本能なのだろう。唯、この作品はあまり読まれていないのが残念である。私は、追いかけます。

2016/08/19

KEI

「恋うるということは、甘さと苦さを表裏に塗りあわせた一枚の花弁を噛みしめるようなもの」。京都を舞台に描かれる光介と氷見子の再燃した赦されない恋、静かに最期の時を待つ浄現と路乃の恋、親の恋心ゆえに巻き込まれた娘たちの辛い恋。いくつかの恋が絡まり、甘さと苦しさが伝わって来る。赦されない恋ゆえに周囲を焼き尽くしていった姿が最後の山茶花の花がドミノの様に散っていく場面に重なった。雑誌「マダム」の連載小説との事、多くの読者がこの赦されない恋に胸がときめいた事だろう。私も含めて(笑)

2017/10/25

James Hayashi

いいタイトルである。まさしく小説であり、恋愛であり、不倫である。中年の激しくはないが冷めやらぬ淑やかな再愛。しかしストーリーは恋愛だけで終わらない。試練があり、家族があり、人生が語られる。後半に入って予想はつくが、こういった方向性の恋愛は想定外だった。

2019/07/02

なつ

どす黒いものは感じなかったけれど、これを「純愛」とは言えないかな。どんな思いであれ、不倫は不倫だものなーと手厳しい事を言ってみる。でも、激しくもありとても静か。だから綺麗に見えるのかも知れない。

2017/01/10

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