解体屋外伝 (講談社文庫 い 65-2)
解体屋外伝 (講談社文庫 い 65-2) / 感想・レビュー
いちろく
紹介していただいた本。洗脳する側と洗脳を解除する側の対決を描いた物語。他の作品を読んだ時に、著者の作品=「言葉遊び」という印象を感じ感想にも明記したけれど、本書の登場人物達のやり取りの中で「言葉遊び」というコトバが出てきて思わずニヤリとしてしまった。解りにくいとか難しいとかではなく、作品として描かれる「言葉遊び」に、今の自分が受け入れられるか?受け入れられないか?の違い、という印象が益々強くなる。極端な例だけれど、私には西尾維新さんの作品が好きですか?嫌いですか?と聞かれている感覚に近い。
2018/07/14
きいち
暗示の外に出ろ、俺たちには未来がある・・実はこれまでずっと、「会社で働く自分」を支え続けてきてくれた本の一つだ。◇たとえば「新人研修」なんて薄められた洗脳そのもの(理論は本当に同じ枠組みだし)、講師の口ぶりに感じる強制や禁止、同時受講のメンバーの同調圧力の厭らしさ、共にそのままでは耐え難かった。でも、それをその場で言語化して分解し、自分に役立つものだけを「良い暗示」として採用すれば、確かに何とかなる。。なんとも無邪気に、小説の中の手法を現実世界にそのまま使用してきたのだなあ。久しぶりの再読に気づかされた。
2015/06/07
readtuktuk
調子っぱずれで、認知が歪んでいるとき、そこからの脱出の鍵は、いとうせいこうさんの小説『解体屋外伝』の中の、「暗示の外に出ろ。俺たちには未来がある」という言葉や、「悲しい目に会った人間は、何を見ても落ち込む。それは神経洞窟(ニューロティック・ケイヴ=この小説内の造語)が目の前にあるものを穴に引っ張り込むからだ。(中略)俺たちは違う。悲しいことなんていう事実はない。そこにあるものをどうとらえるかだけだ。それを悲劇の繰り返しにしているのは、脳(システム)に出来た神経洞窟のせいなんだ」という言葉でした。
2011/07/09
Jimmy
これは傑作冒険小説。「ワールドエンド、、、」があまり面白くなかったので、その派生キャラ「解体屋」の物語、では期待薄でしたが、これが良い意味の大外れ。導入部での繰り出すセリフごとに意味のどんでん返しが繰り返されて万華鏡のような酩酊感。続いて息もつかせぬアクションと大きくうねるような展開。しかし3分の2を超えるぐらいから、この厚さで上下巻にしてもよさそうなポテンシャルの小説なのに残りのページ数が不安になるぐらいの広がらない展開になり、サゲがちょっとオイオイと嘆くぐらい小さく収束したのはとても残念でした。
2019/12/04
Toshi
世界的宗教組織の構築を目指す洗脳集団と洗脳外しのプロ解体屋が対決する痛快?冒険小説。1993年作も、今でもとっても面白い。「ワールズエンドガーデン」よりは軽い装いも、これはこれで素敵。最終章にきた時、あれ重要人物である知香先生とノビルは途中から全然出てきてないけど???って感じたも、このエンドはこれはこれでOK。でももう少し読みたかった。
2017/02/26
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