震源 (講談社文庫 し 42-3)
震源 (講談社文庫 し 42-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
こんなにも熱い小説に出会うことはそうそうないだろう。発端は小さな地殻変動である。ところがそれは国家間の謀略にまで発展するものであった。「本質は細部にこそ宿る」ということなのだろうか。物語が内包するスケールには圧倒される。しかも、それだけではなく、生きてあることの哀しみまでがそこに表出されている。この社会の中にあって「私」あるいは「私たち」とは何なのか。そうした問いを本書は何にも気づくことのない私たちに突き付ける。すごいなあと思う。小説だからこそ可能な警告なのだろう。
2019/09/11
ゴンゾウ@新潮部
20年以上も前に発表された作品。当時と世界情勢は変わっているのだが古さを感じさせない。多くの謎を残して不可解な失踪をした元同僚を追う気象庁の職員。謎を調査する間に直面する東シナ海を巡る領土問題、海底資源問題。そしてスパイ天国日本での諸外国スパイとの攻防。何重にも張り巡らされた大掛かりなカモフラージュ。エピローグでたどり着く大掛かりなカモフラージュの本当の目的。本の厚さに怯んでしまうが読み出したら止まらなかった。
2016/02/07
クリママ
気象庁地震火山研究所、福岡管区気象台、地震津波火山監視センター。圧倒的な知識量と緊迫感。追い立てられるようだ。いくつかの異なった場面がどう繋がっていくのか予想できない。ここのところぬるいかんじのする真保裕一はこうでなければいけないのだ。海底火山の問題に政治が絡み、二転三転するストーリーに目が離せないが、最後に来て小さくまとまってしまった感じが、ちょっとだけ残念。
2019/10/09
再び読書
色々な事が交錯して結局、何が事実が混乱してしまう。ただ、これだけ混乱した事実が、錯綜しても読ませてしまう新保氏の筆力に感心させられる。当然pロットに少し無理はあるが、それを感じさせないうねる文章を満喫した。やはり、これからも追いかけていく作家と思わせる。でも、少し長かったですね。
2014/12/27
達ちゃん
600ページを超える超大作、読み応え抜群です。国家的陰謀に巻き込まれるストーリーも二転三転して最後まで目が離せませんでした。
2020/04/19
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