アトポス (講談社文庫 し 26-16)
アトポス (講談社文庫 し 26-16) / 感想・レビュー
W-G
放置していたものをついに再読。トリックといえば、いくらかかるかわからない館ギミック頼みで、これだったら警察が手数に任せてもちゃんと解決したんじゃないかという疑問は言わない約束として、エリザベート・バートリと人魚とサロメという、一見なんの関連性もないモチーフを、真相の裏側に流れるテーマとして見事に収束…しないのかよ!一本とられたよ!という、御大の人外なスケールを愛でる超大編。恒例の『松崎レオナの歌って告白♪』のコーナーも『水晶~』では覗き魔石岡君にドン引きしたが、三人称になったことでややナチュラルに。
2020/01/26
Tetchy
今までにも増して焦らしに焦らされ、本統に整然と解決するのだろうかと、シリーズ中最もハラハラさせられた。まあ、真相に隠し部屋や専門知識を要求させられたのは、やや失望したが、膨大なるエピソードの山が全て結末に活かされているのは流石!!
2009/03/08
papako
勢いで再読。ほんと分厚い。この作品は細部に至るまで記憶していたので、御手洗さん登場までもどかしかった。延々と語られる『エリザベート・バートリ』レオナの『奇行』謎の『人魚』死海のわきの謎の『建物』とは?さてさてひろがった風呂敷どうなる?と読んでたら、白馬に乗った王子様御手洗登場!盛り上がりますね。しかし、ハリウッドにおける日本人女優という設定を強調してなのか、みんながレオナを疑うくだりは、強引な!と思う。まぁジャンキーだしな。しかし『ステロイド粉飾人間』って!怪奇小説ですか!あー、楽しかった。
2017/04/21
セウテス
御手洗潔シリーズ第9弾。971ページもの大長編。過去の物語や伝記をそれ自体で一つの物語として紹介し、並行して進む本編の重要な伏線的役割を持たせて、最後に一挙にリンクするという手法の作品。二階堂氏の「人狼城の恐怖」の様に事件の描写そのものと違い、長さを感じてしまう。「水晶のピラミッド」がアイーダを見せた様に、本作はサロメを背景に持っていると思う。問題は基軸となるテーマを、ここまで物語として紹介すべきかという事だ。要点の説明だけでは、納得のいかない事なのか疑問である。私は捜査や推理に、ページを割いて貰いたい。
2017/01/02
勇波
十数年振りの『アトポス』です。死海という舞台設定と登場人物達の独特のセリフの言い回しに「これだよ、これ!」となってしまいます。この圧倒感はなんだろうねぇ。。二十代で今作初めて読んだ時には頭を金属バットで殴られような衝撃を受けたのが思い出されます。そして文章の端々に島田先生の愛国心が伺えるのが今回の再読で気付いたところ。相変わらずレオナ様も日本を代表して頑張っていらっしゃる。シャロンの最後演舞を目の当たりにしても「エルヴィン、わたしの方がうまいわ」には参りましたよ★
2015/05/24
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