殺戮にいたる病 (講談社文庫 あ 54-8)
殺戮にいたる病 (講談社文庫 あ 54-8) / 感想・レビュー
サム・ミイラ
あまりの凄絶さにも人は慣れてしまうものなのか?無感動になる自分が恐ろしい。やり切れなさと怒りで最後まで溜息ばかりの読書だった。読み始めた時は夢にも見たほど。まさに悪夢。しかしとんでもなく面白い。不謹慎だが。他の叙述物と比べても非常に単純な仕掛けなのだが、逆にそれが巧を奏しているのだと思う。これほどクライマックスに向かって読む速度が上がる小説も滅多にないだろう。時代の病巣、心の闇を抉る書き手の気迫がひしひしと伝わる傑作。グロが苦手な方も過激な描写は飛ばしてでも読む価値のある作品である。
2016/02/16
青乃108号
うん。やはりグロ描写は何ヵ所かあったけど、普通に面白くて物語に没頭できた。先が気になってページを捲る手が止まらなかったし。叙述トリックで有名な作品だけにラストは何だこれ!?で思考停止。状況がつかめるまで暫くかかってしまった。しかしそのトリック抜きにしても良く出来た作品だと思うし、長く俺の記憶に残る作品になる事だろう。
2021/09/13
zero1
人はみんな狂っている?前から気になっていた作品を初めて読んだ(後述)。猟奇的な事件が続き、怖いより気持ち悪い。しかしグロにも意味が。稔と雅子、そして元刑事の樋口の視点で話は進む。タナトスにネクロフィリアなど教授の話は取材の成果?現代人が死から遠いという指摘は妥当。凄惨な事件の再発防止ができない原因でもある。雅子とかおるの描き方について女性読者はどう評価したか気になる。岡村孝子はこの作品を読んだ?ご都合主義ではあるが特に本格ミステリー好きの方に推薦したい読む価値のある作品。上手く騙されるのもいい読者の条件?
2020/05/29
周到&執拗
我孫子武丸の代表作。どう見ても本格ミステリではないが、新本格三羽烏の一人が発表し、本格ファン絶賛の作品である以上、“何が起きているか”を推理する謎解きミステリとして読む人が大半だろう。枠外の状況が本書を本格にしているのである。基本構造はロバート・ブロック『サイコ』だが、真相は連城三紀彦『どこまでも殺されて』の影響大。『サイコ』とは逆に、母親が息子を殺人鬼と考える展開がリアルだ(ちなみに『サイコ』のノーマン・ベイツは薄毛・肥満の四十男)。思いきってシンプルな筋にしたのが成功の要因か。グロ描写がかなり執拗。
2016/03/24
勇波
見事に騙されましたよ。。でも最後の大オチの為の伏線がふんだんに盛り込まれてるせいか物語自体は退屈だったような…。いずれにしてもミステリとしては傑作の部類に入るのではと思います★
2014/11/19
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