大統領のクリスマス・ツリー (講談社文庫 さ 62-1)
大統領のクリスマス・ツリー (講談社文庫 さ 62-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
ライトな鷺沢萌。タイトルからして、やや軽い印象だ。「大統領のクリスマス・ツリー」のあるワシントンD.C.を舞台に物語は展開してゆく。途中から結末が見えてくるのだが、それはかまわない。ただ、文体表現もまた軽いタッチで終始してゆくのはいささか不満だ。この小説は鷺沢にとっては是非とも書いておかなければならない、といった内発的な欲求に突き動かされて書いたのではないのだろう。小説のための小説であるような気がする。また、結末は大方の読者の予想通りとはいえ、そこに導く説得力が十分とは言えないだろう。
2018/02/13
あつひめ
映画になった作品だそうですね。キャストを見たらとても素敵な人ばかり。観てみたくなりました。ね~それでいいの?と言いたくなるような展開・・・もうお互い心が決っているようで口をはさむ隙間もなさそうな気配。愛は続いているんだと思う。もしかしたらお互い「もう一度」という言葉を心の奥では待っていたかもしれない?このまどろっこしさ・・・夫婦の関係って二通りあるのかもなぁ。別れても愛してる、憎んで別れる。読む年代によってかなり感想は違うかも。長年夫婦をやっていたら大きな波がザブンザブンとくるのは当たり前なんだけど。
2012/11/02
ひめか*
えっ⁈これで終わりなの⁈切ない…涙出そうになりました…治貴と香子、二人の歩みを辿った物語。しんみり静かにお話が進んでいくいつもの鷺沢さんスタイルは、今回も変わらず。でも、最後にほんわりして心が温まるんだろうなっていう期待は外れました。今回は最後までゆっくりと静かに流れ、ラストは呆気ないほど切ないけれど、そっと幕を閉じる感じ。あんなに幸せだったのに。優しく私を包み込んでくれるハルが大好きだった…読んでいて治貴はすごくいい人だと思った。「強い(こわい)心と強い(つよい)心は違う」という言葉が印象的だった。
2014/06/21
S.Mori
切なすぎる恋愛小説です。結末では涙が出ました。鷺沢萠はどうしてこのような人の心の一番深いところに届く物語を書けるのか思ってしまいます。アメリカで出会って結婚した香子と治貴の二人。生活のために必死になって働き、自分たちの夢をかなえます。ところがいつの間にかすきま風が吹き始めて……。これまで読んだ恋愛小説の中で、最高のラストではないかと思いました。悲しい結末なのですが、切なく美しく儚いです。クリスマスツリーのイルミネーションはこのように、美しさの中に哀しみを秘めていると思います。
2020/09/21
ふみ
切ない内容はおいといて。この人の文章には独特のリズムがある。それが誰にも似ていない。そして、ありきたりになる表現を注意深く避けている。こわいと思った。
2018/05/05
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