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聖域 (講談社文庫 し 46-2)

聖域 (講談社文庫 し 46-2)

聖域 (講談社文庫 し 46-2)

作家
篠田節子
出版社
講談社
発売日
1997-08-01
ISBN
9784062635790
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聖域 (講談社文庫 し 46-2) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

帯の惹句からすれば、本書は篠田節子氏の比較的初期の作品であるようだ。小説の核心に入っていくまでが長いことや、また全体にもやや冗長な感の残ることは否めない。しかし、彼女の描く「魔的なるもの」が、外界からやって来るのではなく、人間の深層に内在していたものが立ち現れてくるといった物語構造は、すでにこの作者固有の小説作法が駆使されているとは言えそうだ。ただし、テーマを追い込みすぎたがために、結末はやや物足りない結果に終わってしまったように思う。したがって、本書を「篠田節子の最高傑作」とする解説の見解は疑問だ。

2017/07/23

James Hayashi

20年以上前の作品で手に取らずにいたが、重厚感があり後の名作に余韻を残すような作品であった。編集者が気になる存在であった女性をチベットで亡くした損失感、行方不明の作家、死霊との対話をするイタコの登場と恐山など、おどろおどろしい感じを含めながら、不出世の未完の大作を発見した編集者の著者を探し求める探究心は少し狂気じみており、著者らしい宗教的な雰囲気を持ちながら完結を迎える。読後感はスッキリするものでなく、不満を感じるが読み応えはあった。

2017/04/14

James Hayashi

直木賞受賞前の作品であり、著者の早期の作品であり完成度は高くない。しかし醸し出されたおどろおどろしい艶かしい情景。イタコを通しての死霊との対話。未完の大作の完成を目指す作家と編集者の意気込みなど、半端ない読み応え。ホラー、宗教などの要素を加えた異色な作品。再読。

2021/06/03

gonta19

新規購入ではなく、積読状態のもの。2011/9/21〜9/23長い間の積読本。関わった人間を破滅に導くと言われる未完の原稿「聖域」を辞めてしまった先輩編集者の荷物から見つけた実藤。作品世界に魅せられた彼は、原稿を完成させようと作者の水名川泉を探し始め、作品の舞台である東北の地で彼女を発見する。とまあ、記録のためにあらすじを書いてもこの小説の凄みは伝わらない。篠田さんの作品は今手持ちのもの限りで終わりにしようと思っていたが、久しぶりに読んで、その考えを改めることにする。

2011/09/23

Shinobi Nao

関わると破滅するという未完の原稿、続きを書かせたい編集者、という外枠は良いのだが、その原稿そのものに興味を惹かれなかった。それをたかが数年勤めたくらいの編集者が執拗に作者を探し出そうとする過剰な熱意が理解できないし、さらにこの男、「ちょっと気になる」程度の女性を"生き別れの恋人"みたいに妄想で愛していく。気持ち悪い。そこ含めて件の作品の持つ霊的なものの力なの?スピリチュアルなものを今わたしは求めていなかったから自分の選択ミスかも。

2018/02/17

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