深川澪通り燈ともし頃 (講談社文庫 き 26-4)
深川澪通り燈ともし頃 (講談社文庫 き 26-4) / 感想・レビュー
shizuka
お捨さんと笑兵衛さん、第一作目よりはぐっと登場回数は減ったけれど、でもどんなときでも主人公の心の中で微笑んでいる。悲しい時、困った時、やるせなくてやるせなくて仕方がない時、主人公は思い出す。ああ、あの木戸番小屋に行ったら、、と。どうしてもふさぎ込んでいる時は、行くのすら躊躇してしまうのだけれど、そんな時は不思議とお捨さんか笑兵衛さんがひょっこり現れ、主人公たちに手を差し伸べる。いいなあ、心底、いいなあと思う。こんな慈悲深く慎み深い夫婦が近くにいるなんて。そして決して見捨てないなんて。わたしも会いたいよ。
2016/11/30
ぶんこ
シリーズの中でも異質な、中編2編でした。 お捨さんと笑兵衛さん夫婦が、頼ってきた人を全身で受け入れる姿勢には、毎回感心しきりです。 私なら、つい説教を始めそうな相手にも、まず受け入れて温かく面倒を見る。 できそうで出来ないだろうな。 読むたびに反省するのに。なかなか性格は変わらないようで恥ずかしいです。 政吉さんにも、三次郎さんにも、どうして説教をせずに導けるのだろう。 お若さんもお人好しで、寂しがっているのが可哀想で、もっとお捨さん夫婦と仲良くなって欲しいと思ってしまいました。
2015/06/04
tengen
木戸小屋シリーズ2☆彡 喧嘩三昧の政吉は狂歌と出会い、師匠の朝寝や笑兵衛、お捨夫婦の助けでいっぱしの狂歌師になるのだが。 ☆ 娘自分のある晩、知り合った薬売りとわりない中になって十数年。妻子のあるその男は年に数ヶ月、江戸へやってきたときだけ、お若の元にやってくる。 こんな生活で年を重ねていくことに不安と孤独を感じるのであった。
2019/08/10
おか
今回 お捨笑兵衛夫婦は まるで灯台の様な役割であった。「藁」では 孤児だった政吉の出世と没落を描いている。ここで印象に残った「俺達なんざ藁だよ、藁。溺れる者がつかむ藁で、たいして役に立ちゃしねえのさ」という笑兵衛の言葉。人間 苦しい時に 真実 藁にも縋りたいが お捨や笑兵衛の様な藁に出会えることは少ない。お捨達は 相手の身になって一緒にないたり笑ったりしてくれるだけなのだが それが どんなに有難い事か、、、「たそがれ」は女として考えさせられる物語。女としての生きを考えさせられる。北原ワールドここにあり!
2016/09/09
ドナルド@灯れ松明の火
中編小説2冊分が文庫本に。政吉のだらしなさ・2部作目は似たような三次郎の投げやりな生き方が、これでもかと描かれ、しかも作品は重く・暗く・いらつく。木戸番小屋の夫婦の位置づけをお救い小屋にしたいのか?ストーリーが想像できかなり速読で読了。北原さんってこんな感じなのかな。このようなプロットでつづくのなら、澪通りシリーズを引き続き読むか思案中。
2016/03/05
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