村上龍料理小説集 講談社文庫 (講談社文庫 む 3-25)
村上龍料理小説集 講談社文庫 (講談社文庫 む 3-25) / 感想・レビュー
metoo
世界の都市を舞台に、著者の食の嗜好から性の嗜好まで、彼の小説のバックボーンが垣間見れる一冊。濃厚な赤ワインソースの軽くローストしたフォアグラを重めの赤ワインとで口に含み咀嚼してうっとりするのと、肉欲追求するエクスタシーの最中に女性の秘部に舌を這わせ味わうことが、人間にとって同義であるとサラリと書かれている。コート・ダジュールのホテル「ル・キャップ・エステル」でのモデルとの濃密な時間そして別れ、センチメンタルが詰まったブイヤベース。深いわ、味も、人生も。
2016/07/07
優希
どの作品も龍さんが浮かびます。人生を分かち合うレシピが心地良い掌編でした。
2024/08/13
こうすけ
ジブリ映画ぐらいの感じで料理が出てくるが、メインは旅や男女の物語。映画小説集の方も好きだが、こちらもとても良い。文章がキレキレです。最近、トパーズ、共生虫、海の向こうで…、と個人的にあまりのれない村上作品が続いていたので良かった。旅に行きたくなりました。
2021/11/14
匠
ニューヨーク・パリ・ウィーン・リオ・東京、ローマなどを舞台にした32の掌編小説とあるし、タイトルを見て料理が好きだから単純に手に取ってしまったが、料理の味を想像しようとするのにいちいち女性との性の悦楽が邪魔をしてくるので、とても読み終えるのに苦労した。 食欲と性欲、満腹と快楽を感じる神経は近いところにあり、「食べる行為」として共通点があるので仕方ないとは思う。おそらくそこを狙っての作品なのだろうしね。でも、特に蟹のくだりは思い出すのも嫌だ。大好物なのにどうしてくれる!(苦笑)
2013/04/08
ちぇけら
味覚と感覚を同時に刺激される。セックスと食事は取り込むところが違うだけでおんなじ活動なのではないかと思えるほど自然に両者が共存していた。料理とともに訪れる出会いと別れ、様々なセックス。「おいしいってわかりきってるのに、こんなにまずいと思いながらチョコレートを食べるのはこれが最初で最後だと思うわ」哀しいが、誰も後ろを向いていない潔さが素敵だ。
2018/04/27
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