ワイルド・スワン 上 (講談社文庫 ち 4-1)
ワイルド・スワン 上 (講談社文庫 ち 4-1) / 感想・レビュー
鈴木拓
激動の中国を生き抜いた著者の曾祖母、祖母、母、そして自身を中心とするドキュメント小説。上巻では1909年~1953年までが描かれているが、共産党が台頭してくる時代の臨場感が伝わってくる。女性が虐げられた時代から平等の時代へ向かうが……。
2019/08/17
しんすけ
ユン・チアンの祖母から始まる家族史で、小説のような会話はほとんど無い。 満州を舞台にした家族の歴史を淡々と綴っているだけだ。だが何か引きずられるかのように読むの止めることはない。 精神的な集中を強いられていることも感ずるが決して苦痛を伴うものではない。 共感させられる事実が語られているからに違いない。かって世界のベストセラーとなったという事実に、今更ながら頷かされる。 上巻は清朝末期から日本の満州侵略を経て、著者が生まれた翌年の1953年までが記されている。
2021/05/31
昼夜
母から勧められたノンフィクション。戦時中の異常な時代と異常な社会の極限情態に翻弄されながら、人は生きるため国をよくするために何をするか何をできるかが書かれている。安穏な時代に生まれ平和な社会に育った私にはただ黙って聞いているしかできない。
2010/03/11
キムチ
ぐいぐい引き込まれていった。ちょうど、「大地」を読んだ時のように。筆者の記憶の鮮明に感心すると同時に、中国人独特?のような深層に染み付いた怨念を文字にする力に唸らされた。
2003/08/14
こたちゅう
上巻は祖母~母にかけてだが、特に祖母の時代の話には纏足、軍閥の妾、満州族の習慣など、隔世の感がある。たかだか100年ほど前にこんなことが行われていたとは驚きだ。それを知るだけでも読む価値があるが、それに加え、翻訳がこなれていて大変読みやすい。
2011/01/08
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