完全無欠の名探偵 (講談社文庫 に 24-2)
完全無欠の名探偵 (講談社文庫 に 24-2) / 感想・レビュー
Tetchy
私の場合、思わず酒杯が重なるとついつい口が、いや頭の中の引き出しに掛けていた鍵が開けられ、話し出してしまうことがよくあるが、本書の主人公山吹みはるはそんなお酒のような存在だ。本書は日本の本格ミステリの歴史の中でも、ましてや数多ある西澤作品の中でもさほど評価は高くない。しかし私はこの作品を高く評価する。それはデビュー間もない西澤氏のミステリ熱の高さを感じるから。明日のミステリを書こうとする、ミステリ好きが高じてミステリ作家になった作者の若さがこの作品には漲っている。また1つ、私の偏愛ミステリが生まれた。
2021/05/26
ダイ@2019.11.2~一時休止
一緒に居ると昔の不思議なことを勝手に話し始めてしまい頭の中でその謎が解明できてしまうという安楽椅子モノの変化球。最後には全部繋がっていくけどチョット関係が複雑でやや混乱気味。
2016/06/11
さっこ
西澤さんの初期の頃の作品。山吹みはるは本人が知らぬ間に相手を饒舌にさせ、過去の事件を勝手に真相に導くという特殊能力の持ち主。過去の一つ一つが当事者の推理によって結びつき複雑な人間関係などがまとまっていく。事件そのものは陰惨な感じがして好みではないけれど、繋がって一本の筋になっていくところは面白かった。
2021/06/29
セウテス
作者二作目デビュー作に続き、若竹七海の「ぼくのミステリな日常」と同じ連作一話型式の作品です。つまり小さな話を一つずつ続けて行き、最期に隠れたストーリーが繋がるというもの。今作の主人公は、本人と一つの空間に居るだけで、誰もが勝手に記憶の糸を辿り、話出して仕舞うという能力を持つ只の優しい男です。本人は何も考えず、居るだけで真相に近付いてしまう、ある意味完全無欠の探偵です。高知県の方はこれでもかの地元愛に感動を覚えるでしょう。私的には込み入り過ぎて、真相を正しく導き出せずにスッキリしない結末の作品となりました。
2015/09/07
hnzwd
本人は自覚が無いのに、過去の事件を思い出しながら語りかけて行くうちに相談者が真実に辿り着くという特殊能力を持つ主人公。シーンごとに相談者=探偵が変わり、事件の真相が提示されます。間に挿入される断章でもう一つの事件が少しずつ語られて、最後に大きなカタルシスが。。ちょっと力技な所はあるけれどトリッキーな設定にロジカルな解決という西澤節たっぷりで満足でした。
2014/08/26
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