琥珀の城の殺人 (講談社文庫 し 54-2)
琥珀の城の殺人 (講談社文庫 し 54-2) / 感想・レビュー
セウテス
篠田真由美氏のデビュー作品です。「ベルンシュタインブルク城の殺人」の文庫化タイトルです。中世後期のヨーロッパ、オーストリア領ハンガリーの西の山中に建つ城が舞台です。しかし歴史上のリアルではなく、作品の中の世界です。栗本薫氏にしても壮大なサーガの世界、女性の頭の中にはもう一つの世界が在るのではと思う程、作品の為に創られた設定には感じません。メイントリックは密室ですが、語り手が感情的過ぎて、自分の恋愛描写を優先するため、中々探偵頭に成りきれず苦労させられます。世界観の魅力は感じますが、もう一つと言いたい作品。
2015/02/12
Koji Eguchi
篠田2作目。外国の作品を訳したような雰囲気。多くのカナの名前に混乱しそうになりつつも、面白かった。探偵役のプレラッツィの常に冷静な態度は、他の登場人物の仮面の下の本質が表れたときの行動からは際立っていて、彼の真相究明にわくわくさせられる。予想しにくい展開に、ジョルジュの恋心が絡まって、ずんずん読み進める。ジョルジュの手記が間々に挟まる構成も秀逸。18世紀のオーストリアでの物語。地位と財産を巡る争いは何時でも何処でも変わらない。しかし伯爵と家族が暮らすのに何十人もの世話人がいるのが凄いね。
2014/11/06
Tetchy
幻想味溢れる謎の応酬に作中に散りばめられた奇行と伝説めいた逸話が最後に謎の因子の1つ1つとなって表層からは見えなかった真相が現れる、と本格ミステリのコードに実に忠実に則った作品だ。しかし何故かそれらは上滑りで物語は流れていくように感じた。そこに城があり、湖があり、庭園があり、別邸があり、それらの舞台を使って事件を起こしてみました、それだけだ。忌まわしき逸話もステレオタイプでどこかで聞いたような話でしかない。そう、何となく一昔前の低迷期の少女マンガを読んでいるよう、そこまで云うと酷だろうか。
2010/04/27
K
著者デビュー作。もっと深い西洋の雰囲気が漂うのかと思っていたので期待はずれ。解説で作者が言ってるように諸設定に手を加える必要はあるけど、その他の部分でもっと気品漂う西洋貴族の雰囲気が描かれてもよかったと思う。ミステリ要素に関しては密室が主体で実に面白かった。
2014/05/28
十六夜(いざよい)
建築探偵からの流れで読んでみましたが、まず個人的に外人さんの名前が苦手。作品紹介ちゃんと読めば良かった。なんとか読み終えたものの、割とベタな展開でちょっと残念でした。
2015/01/01
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