彼も人の子ナポレオン: 統率者の内側 (講談社文庫 し 3-14)
彼も人の子ナポレオン: 統率者の内側 (講談社文庫 し 3-14) / 感想・レビュー
糜竺(びじく)
権力や栄光をつかんでも、全然気が休まらない。ナポレオンの生き様を読んで、そう感じました。
2020/12/05
ひと
日本の経済小説のイメージが強い城山氏によるナポレオン本。調査の丁寧さがうかがわれ、この姿勢が作品の説得力につながっているのだなと感じた。ナポレオンに対しては恐らく批判的な立場。従う者としては気に入らないとしても、リーダーなので状況に応じて大儀をコロコロ変えてくるのは当然なのかもしれない。ナポレオンを作ったのはその集中力と尖った母だろう。ジョセフィーヌとの関係を大事にしていたら幸せにはなれても歴史上の人物にはなれなかったんだろうな。それにしても欧州人は戦争と殺し合いが好き過ぎる。そんなに権力は魅力的なのか?
2023/11/05
とみやん📖
城山三郎の本を久方ぶりに読んだ。 ただこの本は著者も語るように、ナポレオンの素顔に迫りたくて、フランスのゆかりの地を何度か訪問し、文献なども読みつつ、したためた伝記であり、小説ではない。故に、小説家城山三郎らしさを潜め、正直あまり面白くなかった。 母レティツィア、一人目の妻ジョセフィーヌが理解者であったこと、戦争という特技で権力をおさめ、大義を変えながら皇帝まで登り詰めたものの、最後は孤独の中で死んでいったこと、そして何より重要な事実は多くの無辜の人たちを犠牲にしたこと。このあたりを知ることができた。
2024/03/22
北之庄
久しぶりの城山作品。著者の他の作品とはタッチが大いに異なり、戸惑いが隠せない。いわゆる皇帝ナポレオンの姿は最小限に描き、仏大革命の寵児としての前半生と、2度に渡る配流後の姿に重点を置く。彼の意外過ぎる幼児性を繰り返し描き、かつ自身は率いることに執着するものの、立身に伴いその大義がどんどん変容する点を、殊更暴き立てる内容。いま流行りの文春砲炸裂の様で、後味は今ひとつの感。
2017/01/08
はまい
ものすごい集中力、一貫して自分は率いる者として行動。フリードリヒ大王などの戦術を書物で学び実戦では奇策やフェイント、速攻などあらゆる手を使いヨーロッパ中を震撼させた。かと思えば突然相手の耳を引っ張っておちょくってみたり、大声をあげて驚かせたり、子供と遊ぶのが好きだったり、いつまでも幼児性が残った性格だったという。自分に従わない者は容赦なく殺し、村は焼き払い、大勢の兵を残したまま自分だけ退却してしまったり、300万人もの命がナポレオンの関わる戦争で奪われた規格外のちっちゃいおじさん。
2022/07/02
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