星降り山荘の殺人 (講談社文庫 く 43-1)
星降り山荘の殺人 (講談社文庫 く 43-1) / 感想・レビュー
W-G
読み残していた有名作品。ロジックは読みごたえがあり、良く練られている。もっと飛び道具的な仕掛けのある作品だと予想していたが、意外なほど直球のフーダニット。登場人物が非常に少なく、人物描写もライトな現代人であり、犯人の意外性を演出しづらい。にも関わらずこれだけの有名作になり得たという事は、犯人が○○か、もしくは○○か…という感じで、内容に関係無いところで検討がついてしまうのが悲しい。刊行からいかに早い段階で読むかで満足度の変わる本の類だが、ミステリ部分がしっかりしているので、再読でまた楽しめるだろう。
2016/09/18
Tetchy
本書の最たる特徴は各章の冒頭にミステリを解く上でのヒントが書かれている事。この究極的なまでにフェアである本書は究極的なまでにミスディレクションに満ちていた本格ミステリだった。いやはやすっかり騙されてしまった。久々に犯人が明かされた時に「えっ!?」と声を挙げてしまった。そして作者の周到な仕掛けに初めて気づかされ、驚かされるのだ。してやられた、と。本当に普通の本格ミステリなのである。本書はまさに「普通である事が一番難しい」ミステリ。綺麗に騙され、そしてスカッとする、本格ミステリならではのカタルシスを感じた。
2021/01/16
nobby
倉知作品初読み。ラストにむけて、その1頁を目にして「いや、話違うだろ!?」と思わず序盤に戻って確認したが納得するしかない(笑)秩父奥の雪山に閉じ込められてのクローズドサークル物だが、登場人物9名に連続殺人とは潔い。ロマンティックに星を語るイケメンやUFO研究家なんて、とんでも設定が上手くかみ合い面白い。少し放置気味や無理やり解明な事柄もあるが、ロジカルは一応組み立てられてる。章前に予告やヒントなどが数行囲みで示される構成を楽しんだが、まんまとハマった真相に唖然!
2016/12/18
takaC
そりゃ無いだろ! アンフェアだろ!と、振り出しに戻って確認しましたが、叙述トリックでもなんでもなく、単純にミスリードさせられていただけでした。騙されないぞ、と気合を入れて読んでいたのに、完全に騙されていました。物語内の事件の謎は簡単で探偵役と推理が一致したのですが、読後に思うと、それもそう仕組まれていたような気がしてきました。本来なら、そこでこの大仕掛けに気づくべきだったのでしょう。未熟でした。『十角館』に匹敵する驚きだという中途半端な予備知識があったので、もう一返しあるのかと、最後の一行まで信じてました
2007/08/14
イアン
★★★★★★★★☆☆1996年に発表された倉知淳の本格推理。リゾート地PRのため山奥の山荘に集ったスターウォッチャー、UFO研究家、女流作家ら9人の男女。やがて1人が他殺体で発見されるが、状況的に外部犯ではありえなかった…。閉ざされた山荘での連続殺人という典型的なクローズド・サークルものだが、各章冒頭に挿まれる「神の視点」からの注釈が最大の特徴。ミステリ猛者なら看破可能、中級者は騙され、初心者はそもそも仕掛けられたことに気付かないというあのトリックは、さながらど真ん中に投げ込まれたチェンジアップのようだ。
2022/08/18
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