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家族シネマ (講談社文庫 ゆ 4-1)

家族シネマ (講談社文庫 ゆ 4-1)

家族シネマ (講談社文庫 ゆ 4-1)

作家
柳美里
出版社
講談社
発売日
1999-09-01
ISBN
9784062646680
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家族シネマ (講談社文庫 ゆ 4-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

1996年度下期芥川賞受賞作。表題の通りに、家族を描くが、それは物語の冒頭からもはや完全に崩壊している。あるいは見方を変えれば、それぞれのエゴを際立たせるために、ことさらに家族の再構築が図られているかのようでもある。彼らが元は1つの家族であったことは、シネマの虚構の世界においてのみ、かろうじて接合されるのである。彼らのアイデンティティは、当然家族の内にはないが、では何処にあるのかと言えば、それ以外の何処にもない。つまり家族の全員がデラシネ状態であり、とうとうそれは最後まで打開されることはなかったのである。

2013/05/05

遥かなる想い

第116回(平成8年度下半期) 芥川賞受賞。 「失われた家族を求めて」と いうサブタイトルが付く本書は 現代の家族を描く。家族で 映画に出演…はしゃぐ家族の 中で、冷静な私の眼で物語は 進む。家族で暮らすことは ある意味、全員が演技すること なのか…壊れてしまった家族が 映画で演技をしながら、 壊れた家族の歩みも同時に 浮かび上がるが…読んでいて 家族が切り捨てられていく気がする のは何故なのだろうか。 家族の憎しみと演技の対象が 印象的な本だった。

2014/07/12

おしゃべりメガネ

う~ん・・・さすが「芥川賞」受賞作品で、ぶっちゃけ全くと言っていいほど、自分にはよくわからなかった作品です。3編からなる短編集ですが、どの話もある意味、間違いなく完全な「芥川」カラーの作風で、感性のゆるめな私には全くついていけずじまいでした。「芥川賞」作品のレビューを過去に何作か書いていますが、おそらくどの作品にも共通して書いているのが『わかる、わからないではなく雰囲気を味わうモノ』と記述していたかと。しかし残念ながら今作は、そんな雰囲気すら味わうコトができませんでした・・・。柳美里さん、手強いかな。

2015/11/03

absinthe

『家族…』人類の歴史の中で、豊かになった現代では家族の意味も変わってきたのか。既に家族という単位がヒトの生活に適していない。家族は虚構として惰性で演じ続けられているのだろう。父親、母親、子供…とっくにばらならになった家族の中で、その立ち位置を必死に演じ続ける家族の様子。『潮合い』いじめ問題。被害者側視点で書かれることが多い問題だが、あえて一歩引いて加害者やそれを傍観する周辺に重きを置いた構成。

2021/04/18

kaizen@名古屋de朝活読書会

芥川賞】「家族シネマ」は芥川賞らしい、暗く重い話。どうしてこう、読みにくい話ばかりに賞を出すのだろう。劇作的。崩壊した家族で、家族の崩壊を撮る。帯にある実像と虚像というのは理解できない。それぞれの実像を描写したという説明の方がよかったかも。

2013/12/04

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